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平成21年第1回定例議会 施政方針

最終更新日:
 本日ここに、平成21年第1回市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、ご健勝にてご出席を賜り、厚くお礼を申し上げます。

 開会にあたり、市政運営についての所信を申し述べますとともに、平成21年度当初予算案等について、その概要をご説明申し上げます。

 皆様ご案内のとおり、米国のサブプライムローン問題に端を発した、百年に一度ともいわれる世界的な金融危機は、わが国の実体経済に悪影響を及ぼし、結果、急激な景気後退局面に突入しており、企業の倒産や生産調整等により、現在、社会問題化している「派遣切り」や「内定取り消し」等、雇用情勢の悪化を招いております。

 また、国際通貨基金(IMF)の最新の経済見通しでは、わが国の平成21年国内総生産(GDP)の実質成長率は、内閣府の統計がある昭和31年以降で最低水準となる、マイナス2.6%と予想されており、さらに内閣府が先日発表した最新四半期の実質GDP(国内総生産)は、前期比年率12.7%のマイナスという、歴史的な悪化を示したことから、早急な景気刺激対策、生活支援対策が求められているところでございます。

 雲仙市といたしましても、大変厳しい財政状況の中ではありますが、経済情勢等、市内の実情に鑑み、原油価格高騰対策としての農漁業・商工業に対する支援、及び金融不安・景気後退対策としての中小企業への支援等を行なうため、昨年9月から1月にかけて、数次に亘る補正予算を編成し、総額で3億4千万円を超える各種の緊急対策を講じてまいりました。

 また、政府は、本年度の第1次補正予算に続き、第2次の補正予算を編成し、先ごろ成立を見たところでありますが、この中には、国民に対する緊急の生活対策として、「定額給付金」・「子育て応援特別手当」・「地域活性化・生活対策臨時交付金」等が盛り込まれております。

 「定額給付金」につきましては、家計への緊急支援と併せて、地域の経済対策に資するため、2月1日を基準日として、18歳以下及び65歳以上の方に2万円、それ以外の方に1万2千円を一律に給付することになります。

 また、「子育て応援特別手当」は、一定の要件を満たす第二子以降の3歳から5歳の児童を対象として、1人当たり3万6千円を支給することにより、子育て家庭に対する支援を行うものでございます。

 市といたしましては、国の第2次補正予算の成立を受け、今回、上程しております平成20年度の二つの一般会計補正予算案において、定額給付金給付事業ほか、関係予算を計上させていただきました。「地域活性化・生活対策臨時交付金」につきましては、本市への交付予定額が約8億円となっておりますが、市民の安心と安全に繋がる事業の前倒しや中小企業者への受注機会の拡大を図る事業等に総額約9億5千万円を計上し、交付金を充当することとしております。

 なお、定額給付金等については、できるだけ早期に皆様にお渡しできるよう、給付準備作業に着手したいと考えております。


 さて、本格的な地方分権時代を迎えようとしている今日、人口の減少や少子高齢化、地域格差が声高に叫ばれる中にあって、自らが置かれている状況を嘆くよりも、今、地道な努力を続ければ、道が開ける時は必ず来ると信じ、夢と希望を見出すための努力をしていかなければなりません。

 平成21年度は、厳しい財政状況の中にあっても、自治体間競争に打ち克ち、時代に即応した基礎自治体、地域コミュニティの形を創りあげるため、市民の皆様の暮らしを直接支える事業や将来の発展に向けて、種を植え、芽を出させ、育成させていく事業について、「選択と集中」のもと、スピード感を持って、積極的に実施する所存でございます。

 また、「市民が主役」「市民総参加」を第一として、情報公開を進めるとともに、市民の皆様のご意見を広く市政に取り入れ、また、意欲のある皆様からの提案による事業等を支援することにより、市民の皆様の市政への参画を促進してまいります。

 さらに、職員の創意工夫によって、既存の人材や施設等をうまく活用し、特段の予算措置を必要としない「ゼロ予算事業」を、20年度に引き続き実施するとともに、3年目を迎える「雲仙市総合計画」については、新年度の予算において、一般財源ベースで2億円の「総合計画特別推進枠」を設定し、その実現を加速させてまいります。

 なお、「雲仙市総合計画」を実現するためには、市の組織体制を、施策の方向性に的確に対応させるとともに、責任と権限を明確にした組織体制へ再編することが必要であり、そのための組織改正を4月に行いたいと存じます。

 それでは、以上のような姿勢を基本としながら、新年度に取り組む主な事業等について、「雲仙市総合計画」の6つの基本方針に沿って、ご説明いたします。


1.みんなでつくるまちづくり
【旅券(パスポート)事務の取り扱い開始について】
 市役所の窓口業務につきましては、市民の皆様にとって親切でわかりやすい窓口となるよう、時間外の書類受領の他、昨年4月から総合窓口を開設したところでございますが、より市民の皆様の利便性を高めるため、本年4月1日から、従来、長崎県庁及び県の出先機関である諫早土木事務所、島原振興局へ出向いて申請をしなければならなかった旅券(パスポート)申請につきまして、吾妻庁舎の窓口において取り扱いを開始いたします。

 旅券事務につきましては、添付書類として、戸籍抄本等が必要である為、市民の皆様の利便性を考慮し、同じ窓口である市民課戸籍班で取り扱うこととしております。

 なお、旅券受領の際、市民の皆様が手数料として、各自が購入して持参していただいておりました収入印紙及び長崎県証紙につきましても、今後は市役所内会計課において購入できるようになります。

 これからも、市民の皆様にとって、利便性が高く、より親切な、わかりやすい窓口をめざしてまいります。
 
【地域自立活動創出補助金の創設について】
 市といたしましては、みんなでつくるまちづくりを推進するため、市内の地域資源を活かし、自ら考え実践し、より自立した活動を創出することを目的に、1年以上継続して活動している団体を対象として、その公益的な地域活動を積極的に支援するため、平成21年度より、地域自立活動創出補助金を創設いたします。

 この補助金は、一定の自己資金を確保することを補助金交付の要件としておりますが、この自己資金については、金銭的資金だけではなく、ボランティア活動等の「価値提供」を金額に換算し、自己資金として含めることができるものとし、申請団体の金銭的負担が軽減される内容となっております。お金を直接媒介しない、物品や助け合い等の価値提供を基盤とした活動こそ、地域の自立した活動として定着していくものと考えております。

 今回創設いたしました制度を積極的に活用していただくことにより、各地域において、自立した活動が創出され、みんなでつくるまちづくりの更なる推進が図れるものと考えております。
 
【ふるさと応援推進事業について】
 昨年創設されました「ふるさと納税制度」に伴い、雲仙市もふるさと応援基金を創設し、雲仙市ご出身の方やゆかりの方々にご寄附を募ってまいりましたが、昨年12月末日までに、全国各地から53件、255万6千円ものご寄附をいただきました。

 この温かい応援のご寄附につきましては、寄附された皆様から指定していただきました事業分野の中から、その想いを活かせるよう、充当する事業を選考した結果、

(1)地域づくり事業
(2)緊急通報装置貸与事業
(3)雲仙ブランド推進事業
(4)ジオパーク推進事業
(5)子育てハンドブック作成事業
(6)「ふるさと応援文庫」図書購入事業

 以上、6つの事業費の一部に充てさせて頂くこととして、平成21年度の当初予算案に計上させていただいております。

 なお、本制度につきましては、ご寄附を頂きました方々並びに全国各地でご活躍の方々と、ふるさと雲仙市が固い絆で結ばれますよう、平成21年度も引き続き推進してまいりますので、今後とも、議会並びに市民の皆様のご指導とご支援をお願い申し上げます。
 
【住民参加型公募地方債「雲仙ゆめみらい債」の発行について】
 昨年12月、市民の皆様に市が行っている事業に関心を持っていただくとともに、市の資金調達にご協力いただくことを目的として、住民参加型公募地方債「雲仙ゆめみらい債」1億円を発行しましたところ、大変ご好評を頂き、発売2日目で完売することができました。この場をお借りして市民の皆様にお礼申し上げます。

 平成21年度におきましても、引き続き小中学校施設の耐震化事業等の財源として、1億円を発行するよう計画しており、この「雲仙ゆめみらい債」を通して、市民の皆様の市政への参画を一層推進してまいります。
 
【男女共同参画の推進について】
 男女共同参画の推進につきましては、昨年3月に策定しました「雲仙市男女共同参画計画」に基づき、家庭、職場、学校、地域等、あらゆる分野において男女共同参画の社会づくりが推進されますよう、雲仙市男女共同参画センターが中心となり、その意識づくりを進めております。

 平成21年度におきましても、引き続き男女共同参画の必要性を理解していただけるよう、基礎的な講座を中心に、DVやデートDVの防止講座等を計画しておりますが、講座を開設して参加者をお待ちするのではなく、様々な会合の場に出向く「出前講座」方式をとることにより、積極的に男女共同参画の意識づくりを進めてまいります。
 
【滞納徴収の強化について】
 市税徴収につきましては、財源の確保および納税に係る不公平感をなくすため、平成21年度から、滞納管理システムを活用して、刻々と変化する滞納状況を把握し、迅速で正確な事務処理を図るとともに、徴収嘱託員による徴収を現在の2名体制から4名体制へと拡充し、収納率の確保向上に努めます。 

 また、滞納管理システムにつきましては、収納情報の一元化による効率化を図るため、税以外の徴収金についても活用するよう、検討してまいります。
 
【固定資産評価について】
 平成21年度は、3年に1回の固定資産税評価替えの年度であることから、これまで合併前の旧町単位で行っていた固定資産の評価手法を見直し、雲仙市として統一的な評価基準を定めるとともに、「固定資産評価システム」の活用により、公平、公正な税負担を目指し、税に対する理解と信頼の確保に努めてまいります。
 
【行政評価制度について】
 限られた財源の中で、市民満足度の高い、成果重視の行政運営を実現することを目的として、市が実施している事業について、一定の指標を用いて、その成果を検証する制度として、「行政評価制度」を本年度から導入いたしました。

 評価を行なった結果、拡充・改善とされたものが65事業、現状維持とされたものが184事業、縮小とされたものが5事業となりました。

 この評価結果に基づき、平成21年度、各部局で事業に取り組んでまいりますが、本年度の実施状況を踏まえ、より充実した行政評価制度となるよう、取り組んでまいります。

2.快適で住みよい暮らしづくり
【安心・安全のまちづくりについて】
 火災や自然災害などに対処し、安心・安全なまちづくりを推進するため、国の第2次補正予算に盛り込まれた「地域活性化・生活対策臨時交付金」を活用して、前倒しにより防災行政無線及び消防設備の整備を行い、その充実に努めてまいります。

 また、統合による防災行政無線の親局を整備したことにより、消防庁から人工衛星を経由して防災行政無線を自動起動させ、緊急地震速報や気象情報など、対処に時間的余裕のない事態に関する緊急情報を24時間体制で市民の皆様に瞬時に伝達する「全国瞬時警報システム(J―ALERT)」を平成21年度に整備いたします。
 
【地域で支えあうまちづくりについて】
 市では、災害時要援護者の安心・安全を確保するため、自助、共助を基本とした「雲仙市災害時要援護者避難支援計画」を平成19年度に策定いたしましたが、地域における支援が重要であることに鑑み、本年度、計画の概要版を作成し、全世帯へ配布させていただきました。

 また、危険箇所の表示や要支援対象者、避難場所などを掲載した防災福祉マップを作成し、自治会長、民生委員児童委員を始め、消防団など関係機関へ配付し、「地域支援班」の整備等、地域での支援、協力をお願いしたところでございます。

 支援を必要とされる方の中には、ひとり暮らしの高齢者や寝たきりの方、障害をお持ちの方などがおられ、実際の避難支援に資するとともに、その状況把握や一人ひとりの状態に対応した支援を行うため、平成21年度、計画に基づく事前避難や災害発生初期を想定した、要支援対象者の避難支援訓練を各地域で実施いたします。具体的には、要支援対象者の状態に応じた支援の方法、応急救助支援やAEDの使用訓練等を計画しておりますので、要支援対象者の支援につきましてご理解とご協力をいただき、地域の皆様には、積極的にご参加いただきますよう、お願いいたします。
 
【循環型社会づくりの推進について】
 ゴミをできるだけ出さない循環型社会の実現を目指し、平成21年度につきましては、雲仙市内の家庭から排出されるごみの量を一人1日当たり50gの減量に取り組んでいただくことを目標に、リフューズ(発生抑制)、リデュース(排出抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)のいわゆる4Rの推進を行なってまいります。このため、ストックハウスなどを活用したリサイクルの推進や、ゼロ予算事業として実施いたします「ごみの分け方・出し方講座」等を通じて、市民の皆様への啓発活動を行うとともに、市民の皆様からご要望が多い生ごみ処理機器等購入費助成事業を引き続き実施してまいります。

 また、地球温暖化対策が叫ばれるなか、今後は未利用エネルギーを活用した対策が重要性を増してきております。雲仙市内には、太陽光やバイオマスなど、利用可能なエネルギー資源が豊富にあると思量されることから、その資源量を把握することにより、本市の実情に即した新エネルギービジョンの策定に取り組んでまいります。なお、ビジョン策定にあたりましては、Eキャンレッジプログラムのなかで長崎大学環境科学部と連携して行うこととしております。
 
【水と緑を大切にした自然環境の保全推進について】
 本市のかけがえのない自然環境を守り、次世代に引き継ぐため、まず、生活排水対策といたしまして、例年行っております環境カレンダーの配付や定期的な河川水質調査を実施するほか、現在、市民の皆様に広く利用していただいているEM培養液の有効利用を進め、生活排水対策のより一層の促進を図るため、平成21年度には、現在未設置となっております千々石地区にもEM培養装置を整備し、持続可能な社会づくりを進めてまいります。

 また、廃棄物対策といたしまして、不法投棄の未然防止及び撲滅を目指し、環境監視員による定期的なパトロールなど環境監視活動等を強化することにより、市内の環境美化に努めてまいります。
 
【交通網の整備について】
 市内を安全かつ快適に往来できる交通網の整備につきましては、重要な社会基盤の一つであると位置づけており、雲仙市として初めて旧町地域間を結ぶ道路として、千々石町木場地区と小浜町山領地区を結ぶ道路の整備に、平成21年度から着手いたします。

 現在、千々石町と小浜町を結ぶ主要な道路は国道57号だけであり、この道路が完成いたしますと、地域間を結ぶ市道として、交流が促進され、地域の活性化に繋がることはもとより、災害等で国道が崩壊し、地域が遮断された場合において、国道の代替道路として利用できることから、市民生活の安心・安全を確保する目的も併せ持った道路として計画、整備してまいります。

 次に、「仁田峠循環自動車道路」でございますが、昨年の6月議会において市道としてご承認いただきましたことから、県より移管を受け、本年4月1日から「市道小浜仁田峠循環線」として供用を開始いたします。供用開始後は、無料化により、多くの観光客が利用され、本市観光の活性化に繋がるものと期待しております。

 なお、一昨年の12月に暫定ながら開通されました、「諫早湾干拓堤防道路」の南部取付道路工事につきましては、昨年、県により事業着工の運びとなっております。あと数名の地権者との交渉が残っていると伺っておりますが、今後も引き続き県と連携を図り、一日でも早い完成を目指したいと存じます。

 また、「一般国道251号 愛野森山バイパス」でございますが、県では、既に一級河川千鳥川河口部の工事を発注し、道路建設のための工事用道路の工事も現在施工中でございます。この事業は、島原半島の交通ネットワークを飛躍的に向上させるものでありますので、本市といたしましても県と連携し、積極的に推進してまいります。
 
【雲仙市交通体系の整備について】
 島原半島におきましても、モータリゼーションの急速な発達と人口減少、少子高齢化の進行により、一昨年の4月から県営バスが撤退し、また、昨年3月末には、島鉄南線が廃止されるなど、公共交通を取り巻く環境は大変厳しくなってきております。

 このため、市といたしましては、市民の皆様の生活交通の確保を目的に策定した「地域公共交通総合連携計画」に沿って、本年度の吾妻地域に引き続き、平成21年度は、国見、瑞穂、南串山の3地域において、乗合タクシー運行実証実験を行うよう計画いたしており、市内の公共交通空白地域における新しい生活交通の確立を目指して、市民の皆様との協働による持続可能な交通体系の整備を図ってまいります。

 また、障害者や高齢者、学生などの交通弱者はもとより、一般利用者にも路線バスが利用しやすくなるよう、島鉄バスとの協働により、優先度等を勘案したうえで、21年度から、バス停上屋の整備を進めてまいります。
 
【高度情報化の推進について】
 市が保有する行政情報データ及び個人データは、大変膨大であり、このデータが消失したり、外部へ流出することは絶対にあってはならないことであります。市といたしましては、このデータの取扱いを厳重に管理し、外部流出等を防止するとともに、市民の皆様への安定的な情報の提供と事務の効率化を図るため、平成21年度に、それらのデータを統合的にバックアップするシステムを構築するとともに、職員が使用するパソコンにおいても、セキュリティー面を強化したシステムを導入・構築することにより、市が保有するデータの保護及び管理の徹底に努めます。
 
【戸別受信機を活用した新たな放送体制について】
 「雲仙市防災行政無線整備統合事業」により、平成19年度から市内各地区で、順次進めております戸別受信機の設置につきましては、平成21年度中に国見地区の整備を前倒しして実施することにより、市内の各家庭へのデジタル式戸別受信機の整備が完了する予定であります。

 そこで、現在、行っております「一般情報の放送」を、家庭内の戸別受信機を活用したラジオ放送のような放送に変更できないか、作業部会を立ち上げて検討しているところでございます。

 現在の屋外放送は、旧町の設備をそのまま利活用していたこともあり、大音量の放送による騒音や難聴地域の発生などの問題を抱えておりますが、今回検討しております戸別受信機での放送により、騒音問題等の解消が図られるとともに、詳細な情報の提供や放送の選択聴取などが可能となるものと考えております。

 運用に際しましては、放送基準の整備や放送体制変更についての周知などの課題もございますが、新しい放送体制の検討を進め、積極的な市政情報の提供を図ってまいります。
 
【水道施設整備の推進について】
 市民の皆様に、安全・安心で低廉な水道水を安定的に供給するため、本年度水道ビジョンを、さらに平成21年度末までには基本計画を策定することとしております。

 また、老朽化施設の更新事業としまして、国見地区の簡易水道及び上水道、瑞穂地区の簡易水道を継続して実施するとともに、吾妻地区及び瑞穂地区の下水道整備に伴う水道配水管布設替工事等を計画しております。

 さらに、平成21年度には、愛野地区及び千々石地区の簡易水道について、変更認可を受けるよう予定しておりますが、その後は、簡易水道統合整備事業により、国庫補助事業等を活用して、簡易水道を統合し、上水道へと変更する計画でございます。ただ、現行の過疎法が平成21年度末に失効するため、過疎対策事業債が活用できるかどうかは、現時点では不明であります。
 
【下水処理施設整備の推進について】
 生活環境の改善と公共用水域の水質保全を目的に進めております、下水処理施設の整備につきましては、平成21年度も本年度に引き続き瑞穂地区、吾妻地区の特定環境保全公共下水道事業を推進してまいります。

 また、浄化槽市町村整備事業につきましては、瑞穂・吾妻の中山間地区におきまして、整備を進める一方、それ以外の地区につきましては、個人設置型により浄化槽整備を進めてまいります。

 なお、下水道が供用開始された地域におきましては、下水道整備の意義や早期接続の減免制度及び宅内改造資金の無利子融資制度等について、更にPRし、加入率の向上を図ってまいります。
 
【水道料金の統一について】
 合併からの懸案事項でありました、水道料金の統一につきましては、これまで来年4月からの実施を予定し、議会や自治会長会議等において説明してまいりましたが、市民の皆様の負担軽減を図るため、半年間前倒しして、本年10月から実施することといたしました。

 このことにより、統一した新料金と旧料金とを比較して、新料金の方が料金が下がる使用者の皆様につきましては、本年10月分から新料金を適用いたします。また、逆に新料金の方が料金が上がる使用者の皆様につきましては、経過措置を設け、本年10月分から来年3月分までは、旧料金を適用し、平成22年度には、新料金と旧料金の差額の3分の2の額を新料金から減額した額、23年度には、差額の3分の1を新料金から減額した額を適用することになります。

 結果、平成24年4月分から、全て統一料金を適用することになりますが、今回関係条例の改正案を議会に上程させていただいております。

3.笑顔いっぱいの健康と福祉づくり
【健康な地域づくりについて】
 市民一人ひとりが、心身ともに健やかな人生をおくることができるよう、市民の皆様とともに「健康うんぜん21」計画の着実な推進を図るため、平成21年度も引き続き生活習慣病対策事業、母子保健事業、心の健康づくり事業、地域医療の確保及び感染症予防対策等に取り組んでまいります。

 まず、生活習慣病対策といたしまして、各種ガン健診はもとより、平成20年度から行なっております若年者健診を実施するとともに、保健指導の充実を図り、生活習慣病の予防や重症化の予防に努めます。また、健康的な地域づくりのため、健康運動推進員や食生活改善推進員の養成及び活動支援等により、健康の輪を広げてまいります。

 次に、母子保健事業といたしまして、現在実施している公費による妊婦健康診査の補助を、5回から14回に増やし、妊婦の健康管理の充実と妊娠に伴う経済的負担の軽減を図ります。

 また、新型インフルエンザ対策でございますが、この新型インフルエンザは一旦発生すると、免疫がないことや国際交流や交通機関の発達などにより全世界で短期間に大流行する可能性があります。

 そのため、市といたしましては、この新型インフルエンザの感染拡大を阻止し、健康被害を最小限にとどめるため、県や医師会等関係機関との連携・協力を進めるとともに、市の広報紙や自治会長会議等を通じて、予防の周知と情報の提供に努め、流行による健康被害を最小限にとどめるよう、努力してまいります。

 更に、平成20年度から医療保険者に義務付けられました、40歳から74歳までを対象とした特定健康診査・特定保健指導につきましては、平成21年度の目標である受診率50%の達成にむけて、より多くの皆様が受診していただけるような環境を整えてまいります。

 また、同じく平成20年度より、75歳以上を対象とする長寿医療制度、即ち後期高齢者医療制度がスタートいたしましたが、低所得者の保険料の見直しや保険料の納付方法が選択制となるなど、制度の改正が行われたところでございます。

 今後も、長寿医療制度について、被保険者の皆様にご理解いただけるよう、制度の仕組みや医療費の現状等について、市の広報紙やホームページにより周知するとともに、引き続き出前講座を開催し、説明に努めてまいります。
 
【安心できる高齢社会の実現について】
 高齢者ができる限り要介護状態になることなく、在宅で健康な生活を送ることができるよう、平成21年度も引き続き介護予防や健康教育に努めるとともに、相談体制の充実、文化・地域活動の多様な社会活動への参加を促進するなど、高齢者の生きがい対策を推進してまいります。

 また、一人暮らしや高齢者のみの世帯で援助が必要な方の不安の解消、安全確保、安否確認を目的とした「緊急通報体制等整備事業」、配食サービスを行う「食の自立支援事業」、高齢者の社会活動の範囲を広め自立更生を目的として、タクシー代の一部を助成する「高齢者交通費助成事業」や敬老会助成事業等にも引き続き取り組んでまいります。
 
【平等な社会の実現について】
 障がいのある人もない人も、地域社会の中で、ともに支えあい、ともに暮らしていくことができる、平等で自立を目指した社会づくりのため、平成21年度につきましても、施設入所、就労支援、更生医療及び補装具などの給付を行なう障害者自立支援事業をはじめ、地域活動支援センター、手話通訳派遣及び日常生活用具などの給付を行う地域生活支援事業など、各種制度に基づく事業を継続してまいります。

 また、障がいのある人の自立更生を助長するため、障害者交通費助成事業についても引き続き取り組んでまいります。

 また、公的機関における知的に障がいのある人の雇用が極めて少ない状況の中、「平等な社会の実現」を目指し、平成21年度から、県下市町では初めて、知的に障がいのある人を対象として、市の嘱託職員を採用することといたしました。

 市役所が模範的に知的に障がいのある人の雇用を行なうことにより、障がい者の社会参加の促進及び民間企業への雇用促進が図られるものと期待しております。
 
【最低生活の保障について】
 生活保護法におきましては、日本国憲法の理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障し、自立を助長することを目的に、生活保護を行うと規定されております。

 雲仙市におきましては、合併後、福祉事務所を設置し、疾病や失業のため生活に困窮する市民に対して、生活保護の相談を受けたり、生活扶助費の支給や医療・介護の現物給付を行っておりますが、今後とも健康で文化的な生活水準の確保に努めてまいります。

4.力強い産業と仕事づくり
【農林水産業の振興について】
 全国的に就農者の高齢化や減少化、さらには担い手不足により、遊休農地が増加しており、本市においても同様に遊休化した農地が年々増加傾向にあります。

 このような背景のもと、農地の多面的機能の保全と農業の基盤である農地を積極的に活用するため、農業を事業として確立できる法人組織の設立なども視野に入れながら、関係機関と協調し、調査研究を行うとともに、農業経営基盤強化促進法により、意欲と能力のある担い手農家への農地集積を進め、引き続き適正な農地活用に取り組んでまいります。

 その他、農地や農業用用排水路などの資源の良好な保全と質的向上を図るため、平成21年度も引き続き「農地・水・環境向上対策事業」により、地域ぐるみによる効果の高い共同活動を行なう19地区の地域活動組織を支援してまいります。

 また、遊休農地の発生防止に効果のある中山間地域等直接支払制度が平成21年度までであることから、本制度の継続に向けた要望活動を行うとともに、有害鳥獣被害防止対策事業などを積極的に推進し、地域と一体となって遊休農地の解消に努める所存であります。

 次に、畜産振興につきましては、引き続き雲仙市内で生産された肥育素牛の導入に対する支援事業を行い、「雲仙牛」のブランド化を推進することにより、地域内肉用牛生産農家の活性化と地域一貫生産体制の確立を図ってまいります。

 なお、第10回全国和牛能力共進会につきましては、大会テーマを「和牛維新!地域で伸ばそう生産力 築こう豊かな食文化」、会期を平成24年10月25日から29日までの5日間、サブ会場を島原復興アリーナとすること等が決定されたところでございます。雲仙市といたしましても、関係機関と連携しながら、大会の成功に向けた取り組みを進めてまいります。

 また、老朽化した雲仙市食肉センターに代わる近代的な新食肉センターの建設に関しましては、肉畜生産者や食肉業者及び半島3市で構成する協議会を設立して、島原半島地域全体の共同事業とすることや民設・民営とすることを基本に検討・議論を開始し、今秋までには一定の結論を得たいと考えているところでございます。

 次に、来年度開催されます第33回全国育樹祭につきましては、長崎県と国土緑化推進機構の主催のもと、平成21年10月4日に開催されることが決定されたところでございますが、式典及び皇族によるお手入れ会場となります県立百花台公園には、県内外から約6,000人の参加が予定されております。

 式典前日には、併催行事として「全国緑の少年団活動発表大会」がハマユリックスホールで、「全国緑の少年団交流集会」が県立千々石少年自然の家で、それぞれ計画されているところでございます。

 市といたしましても、第33回全国育樹祭の成功に向けて、できる限りの支援をしていきたいと考えておりますので、議会並びに市民の皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
 
【雲仙ブランドの確立と流通対策について】
 「雲仙ブランド」につきましては、本年度15団体27品目の認定を行なっていただいておりますが、平成21年度は更に新たな認定品目を発掘できるよう、推進してまいります。

 この「雲仙ブランド」をいかに県内外や大都市圏の消費者に知ってもらうか、そして全国的にも誇れるブランドに成長させるかが最大の課題でございますので、販路拡大の面からも、長崎市や福岡市で開催される物産展などに積極的に参加するとともに、大都市圏への販路拡大については県との連携を強め、首都圏での商談会や見本市などにも参加いたします。

 また、昨年12月、雲仙温泉にて開催いたしました「雲仙ブランド冬の大試食会」は予想以上の反響があり、早速、幾つかのホテル・旅館のメニューとして取り入れていただきました。平成21年度は、年2回程度、旅館ホテル・料飲業を対象とした「雲仙ブランド試食会」を実施し、更なる地産地消の推進と観光業の振興を図ってまいります。

 一方、地元の優良加工品などの高付加価値づくりを目的として、本年1月には、市内外の有識者による「うんぜん逸品」認定委員会を設置し、既に2つの商工製品を認定したところでございますが、平成21年度は、「うんぜん逸品」の認定数を増やすことにより、市内の優良加工品の販路拡大を図るとともに、生産者団体の活性化を促進してまいります。

 いずれにいたしましても、農水産物を中心とした「雲仙ブランド品」と、商工製品を中心とした「うんぜん逸品」は、雲仙市の代表的な産物の両輪として位置付けており、PR活動はもとより、販路拡大にも力を注いでまいります。

 また、昨年12月に第1回の開催をいたしました「雲仙市産業まつり」につきましては、今回の成果と反省点を踏まえ、次回からは開催場所を市内持ち回りとし、継続して開催してまいります。

 なお、昨年発足した長崎市、佐世保市との合同事業であるアンテナショップ協議会が2年目に入りますが、平成21年度は、福岡市内で5日間程度の合同物産展を開催するとともに、20日間程度のテスト出店を行うこととしております。3市のそれぞれの特徴を活かしながら、平成22年度の常設出店にむけ、豊富な観光資源や特産物の魅力を福岡市民にアピールいたします。

 次に、平成20年度より取組んでまいりました「雲仙市地産地消の店」につきましては、市内各地より54店舗からの申請がございました。去る2月9日に開催されました認定委員会における審査結果を受け、54店舗を第1回目の「雲仙市地産地消の店」に認定いたしました。認定店につきましては、看板・のぼり・ステッカーなどの無償提供をはじめ、市のホームページや広報紙により、店舗紹介などを行なうとともに、市が関係する物産展などにおいて、優先的に支援を行ない、地産地消の推進を図ってまいります。
 
【企業誘致の推進と地場企業の育成について】
 企業誘致の推進につきましては、本市独自の奨励金制度とともに、企業立地促進法に基づく基本計画の国の同意を得て、企業誘致のための優遇措置の充実を図り、食品加工製造業や機械・電気・電子部品製造業を中心に、企業訪問や企業誘致パンフレットの送付等により、積極的に企業側へアピールしてきたところでございますが、平成19年度1企業、平成20年度に2企業の規模拡大が実施され、約60名の新規雇用を見込んでいるところでございます。

 一方、昨年の原油高騰から始まり、金融危機の発生により、世界中の経済状況が悪化、さらに円高等も相俟って、企業の設備投資の意欲が非常に冷え込んでいる状態でございます。

 しかしながら、このような中でも、ステップアップのための新たな投資機会ととらえる企業もあるものと信じており、平成21年度は、このような企業を発掘し、市内への設備投資に繋げていけるよう、今まで以上の訪問活動や企業誘致パンフレットの送付及びメールによる配信等により、積極的に企業側へアピールしていきたいと考えております。

 また、地場企業の育成につきましては、平成20年度から優れた事業計画をもって新たに事業を起こしたい、または経営改革を行いたいという個人や中小企業を対象として、創業や経営改革に係る経費を助成する「雲仙夢トライアル事業」を開始したところでございますが、平成21年度につきましても引き続き実施し、農商工連携などの新事業・新産業の創出を図ってまいります。
 
【地域雇用創造推進事業(新パッケージ事業)について】
 本事業につきましては、平成19年度から平成21年度までの3カ年の予定で、雇用の促進と本市の基幹産業であります農業と観光業の振興を目的としまして、各種の人材育成講座を開催いたしております。

 平成19年度は159名の受講者中、新規学卒者を含めまして44名の方が就職され、本年度は、農業振興分野で2コース、観光振興分野で7コース、誘致企業・地場産業振興分野で2コースの計11コースの講座を開催し、現在までに160名の受講生の参加を得ているところでございます。本事業の最終年度でございます平成21年度は、正規雇用につなげるためのIT関連講座も開催する計画でございます。

 なお、明日26日は、吾妻ふるさと会館におきまして、講座の受講者や一般求職者の方と求人を希望する事業所の方にお集まりいただきまして、「合同企業面談会」を開催することとしており、この事業を通じて、様々な分野で優秀な人材を育成し、雇用の創出に努めてまいりたいと存じます。
 
【商工業支援対策について】
 米国サブプライムローン問題に端を発した世界的な経済不安は、昨年9月の米国大手証券会社の破綻・経営危機により、国内でも株価の下落、急激な円高等が影響し、金融危機が一気に深刻化し、内需の低迷や就職内定者の取り消しなど、より深刻な問題となってまいりました。

 市といたしましては、この厳しい経済情勢を市内商工業者が乗り切っていただくため、年末、年度末の資金繰り対策として、長崎県中小企業経営緊急安定化対策資金の利用者への利子等助成事業を、先の市議会において上程させていただき、ご決定いただいたところでございます。

 2月20日現在で、この資金の借り入れ要件となりますセーフティネットの認定を行った件数が168件、金融機関が貸付の実行を行った件数が106件、金額にして12億6,500万円に達しております。市では、本庁、総合支所含めまして、昨年末の12月30日まで窓口を開設して、申請受付及び認定業務を行い、利用者の借り入れ申請がスムーズに行われるよう努力してきたところであり、関係機関とも連携し、迅速な資金対策ができたものと思っております。

 また、平成21年度におきましても、引き続き厳しい経済情勢が予想されていることから、緊急経済対策として、市内商工業者の活性化と振興を図るため、「雲仙ゆめみらい商品券発行事業」を創設し、先の臨時議会でご決定をいただいたところでございますが、今後、この事業のスムーズな実施に向け、努力してまいります。
 
【入札制度改革について】
 入札制度改革につきましては、平成19年度から制限付一般競争入札を導入し、対象工事額を順次引き下げておりますが、平成21年度は2千万円以上の工事で実施することといたします。さらに、前金払対象工事の引き下げ、中間前払金制度の導入とともに、下請の市内企業優先、2次製品の市内産品優先利用を明示し、地元建設企業の保護育成に努めてまいります。

 なお、昨年12月より試行しております工事成績評定につきましては、公共工事の品質の保証に関する法律等の施行に伴い、平成21年度の早い時期に本格実施させ、工事品質の確保と施工体制の適正化を図ります。

 なお、最低制限価格につきましては、緊急経済対策の一環として、本年1月30日の入札実施分から当分の間、設計額の80~85%を84.00~85.00%に引き上げたところでございます。

5.新しい観光・交流による活力づくり
【地域資源を活かした観光の振興について】
 農林水産業と並び、本市の基幹産業であります観光業の振興につきましては、昨年の原油価格の高騰や円高による外国人観光客の減少、世界的な金融危機に伴う不景気の浸透で、観光業を取り巻く状況は未曾有の厳しさにさらされております。

 雲仙市の宿泊延人数は、平成19年に対前年1.7%増となり、ようやく底を打った感がありましたので、平成20年も大いなる期待を抱いておりましたが、入湯税から想定いたしますと、小浜温泉が対前年92.0%、雲仙温泉が対前年101.7%の合計、対前年98.7%となる見込みでございます。あくまで見込みの数値ではありますが、この厳しい環境の中での対前年比1.3%の減少は、よく善戦していただいたと思っております。

 平成21年度につきましては、観光業を取り巻く社会・経済状況が不透明な中ではありますが、敢えて平成19年の実績を基に、雲仙市への観光客数を400万人、宿泊延人数を150万人と目標設定して、果敢に取組んでまいります。

 4月には雲仙仁田峠有料道路が無料化され、雲仙国立公園も指定されて75周年を迎えます。また、10月には第33回全国育樹祭も開催されるなど、昨年度以上の大型イベントが予定されており、加えて九州国体の開催等、目標達成の材料は豊富にあると考えております。

 なお、合併前から、継続的に行なっておりました観光イベント事業につきましては、本当に観光客のニーズに合った事業なのか「選択と集中」を基本として、再度、洗い直しを行なってまいります。

 また、雲仙市観光協議会も昨年10月、専任の事務局長が決まり、理事会、各部会も官主導から徐々に民間主導へと変わってまいりました。昨年末には雲仙市観光協議会のホームページを開設いたしましたが、今後、更に内容の充実と情報のリニューアルを行い、インターネットによる地域観光情報の入り口となるべく、情報の発信に努めてまいります。さらに、観光協議会の事業も計画段階から会員の皆様が主体となって取り組んでいただいており、平成21年度は更なる飛躍を期待いたしております。

 昨年10月に日本ジオパーク第1号に認定されました「島原半島ジオパーク」は、現在、世界ジオパークネットワークへの加盟を申請中であります。雲仙市には千々石断層や国崎安山岩層など、数多くのジオパーク遺産がございますので、平成21年度は、ジオパークガイドの養成を図るほか、雲仙国立公園指定75周年記念事業の一環として、雲仙市内にあるジオパーク遺産を巡る新観光ルートの開発も検討してまいります。

 次に、観光施設の整備でございますが、昨年に引き続き、雲仙古湯地区の「街なみ環境整備事業」に取組んでまいります。

 また、平成19年度より、長崎県が「みんなのふるさとふれあい事業」として進めております、小浜港マリンパーク整備事業でございますが、現在、具体的な計画について県、市及び地元関係者間で、鋭意、協議を重ねております。今回のマリンパーク整備事業は、市民の憩いの場としての利活用だけでなく、小浜温泉を訪れる多くの観光客が楽しめ、市民との交流の場として、小浜温泉全体の素晴らしさを市内外にアピールできるような施設を目指すものであります。

 市といたしましては、県の事業対象とならない施設の整備等を、市が地元住民の要望に沿った形で行なうこととしておりますが、観光客のリピーター化を定着させるため、更に地元関係者と協議を重ねてまいります。 

 次に、外国人観光客の誘致でございますが、世界的な景気悪化と円高により、韓国人観光客を中心に雲仙市を訪れる外国人観光客も激減いたしております。しかしながら、逆風の中でこそ、地道な取組みを継続しておくことが重要と考えており、平成21年度も県及び県観光連盟との連携を強化し、東アジアを中心とした誘客活動に取組んでまいります。中でも中国は韓国などと異なり、自治体トップによるセールスが最も効果的なお国柄でありますので、現在、長崎市・佐世保市と合同による上海及び周辺都市へのトップセールスも検討いたしております。

 また、JNTO(日本政府観光局)へ加盟し、年間5,500万アクセス以上ある「JNTO外国語ウェブサイト」を通じて、全世界へ『雲仙市』の情報を発信する計画でございます。

 なお、国土交通省の外局である観光庁主管の事業として、平成20年度に創設されました「観光圏整備事業」につきましては、雲仙市、島原市、南島原市の3市と天草地域2市1町が連携した「雲仙天草観光圏」を組織し、観光振興に取り組むよう、去る2月20日国に申請したところであります。

 この事業は、国内外の観光客の宿泊旅行回数や滞在日数の拡大を目指し、2泊3日以上の滞在型観光を促進する事業でございますが、この事業の認定を受ければ、観光関係団体、農林漁業団体、NPOなど幅広い関係者が連携した地域の活性化の取組みに対して、総合的かつ一体的に、国土交通省の支援があります。

 市といたしましては、関係機関との協議等を進めながら、本事業の認定に向けて、努力してまいります。
 
【地域間交流の推進について】
 雲仙市外に居住されている方が、雲仙市のイメージの高揚と観光振興のために、それぞれの居住地域、活動場所などにおいて多くの人に雲仙市を自慢し、PRしていただくことを目的として、昨年11月から募集を開始いたしておりました『雲仙ふるさと大使』につきましては、首都圏から9名、関西地区から2名、福岡地区から1名の合計12名の応募がございました。

 この『雲仙ふるさと大使』事業は、『雲仙ふるさと大使』に任命された方に、委嘱状をはじめ、宣伝活動のための名刺やパンフレットなどの情報誌、市の特産品などをお送りすることとしており、雲仙市の宣伝マンとしてあらゆる機会を通して、活動していただくことを期待しております。なお、「ふるさと納税者」の方々に対しましても、この『雲仙ふるさと大使』になっていただけるよう、お誘いをいたしているところでございます。

 次に、3年目を迎えます霧島市との観光姉妹都市事業でございますが、平成21年度は本年度同様に、スポーツ、物産、観光面での民間交流を中心に進めてまいりますが、3月8日に霧島市で開催されます「上野原(うえのはら)縄文の森駅伝大会」には、雲仙市の中学生選抜チームを送り込むこととしております。

 また、平成21年は両市共に国立公園指定75周年を迎えることから、相互に記念事業などを計画いたしておりますので、更に交流の輪を深め、市の活性化に繋げてまいります。

 スポーツ交流面では、本年も1月27日から2月15日までの20日間、雲仙市でキャンプをしていただきました、プロサッカーチーム「モンテディオ山形」の継続的なキャンプ誘致を促進してまいります。また、4月に行なわれます、プロによる500名規模の「全九州ダンス選手権大会in雲仙」の毎年開催など、県大会レベル以上の各種スポーツ大会の誘致を積極的に行い、交流人口の拡大を図ってまいります。

6.明日を担う人づくりと誇りあるふるさとづくり
【健やかな子育て対策について】
 児童福祉につきましては、児童環境づくり基盤整備事業の一環であります「地域子育て支援拠点事業」といたしまして、これまで取り組んでまいりました「小規模型地域子育て支援センター」を平成21年度から事業拡大し、安心して子育て・子育ちができる環境を更に整備してまいります。このことにより、地域における子育て支援拠点の充実と乳幼児親子が集う場所の拡大を図り、より地域に密着した子育て支援事業を展開することができるものと考えております。

 また、一昨年オープンしました「子育てサポートセンター」では、会員登録が90名を超え、市民による相互援助活動も実績を伸ばしておりますが、更に利用されやすいものとなるよう、取り組んでまいります。

 さらに、平成21年度には、子育て親子のガイドブックとして、子育て関連の情報や問い合わせ先、お出かけスポットなどを掲載した「うんぜん子育てハンドブック」を作成し、広く子育ての情報源として活用いただきたいと考えております。
 
【図書管理システムの導入による図書館サービスの充実について】
 雲仙市の図書館業務につきましては、現在、雲仙市立図書館と6つの公民館等の図書室で、合わせて15万冊を超える蔵書がございます。

 平成19年度は、1年間に約13万8千冊の図書が貸し出され、市民の皆様をはじめとして、多くの方々にご利用いただいておりますが、現在、更なる利用者の増加を目的として、「図書管理システム」ネットワークを構築し、平成21年度からの本格運用開始に向けて、準備を進めているところでございます。

 このシステムが導入されますと、市立図書館や図書室からはもとより、ご家庭からもインターネットを利用して、雲仙市内の蔵書の状況等を検索できるとともに、県立長崎図書館が運用している「長崎県内公共図書館等横断検索サービス」の活用により、大学を含めた県内の公立図書館の蔵書検索も可能となります。市民の皆様の読みたい本・借りたい本があれば、ご家庭からインターネットで探して、図書館等に申し込んでいただければ、市や県の蔵書については、ご希望の図書館や公民館等でお受け取りになることができますので、今後ますます利便性が向上し、読書活動の推進を図ることができるものと考えております。
 
【雲仙市公立学校施設耐震化事業の推進について】
 小中学校施設の耐震化につきましては、平成27年度までに耐震化が完了するよう、「雲仙市公立学校施設耐震化等事業計画書」を作成し、順次、耐震補強等の事業を進めてきたところでございます。

 しかしながら、市といたしましては、中国四川省の大地震等の状況や平成19年にまとめられました政府の「生活安心プロジェクト」を受け、保護者や先生はもとより、雲仙市の将来を担う児童生徒の安心、安全な学校生活を確保するため、厳しい財政状況の中ではありますが、計画の見直しを行ったところでございます。

 見直しの具体的な内容でございますが、「耐震診断」については、4年前倒しして、平成25年度完了予定を平成21年度完了予定に、また、「耐震補強工事」については、3年前倒しして、平成27年度完了予定を平成24年度完了予定に、それぞれ計画の変更を行なったところであります。

 平成21年度は、17校(校舎15棟、屋内運動場12棟)の耐震診断費、7校(校舎14棟、屋内運動場3棟)の耐震補強実施設計費、及び8校(校舎10棟、屋内運動場4棟)の耐震補強工事を実施することとしており、そのための事業費を当初予算案に計上させていただいております。

 なお、耐震化率につきましては、平成20年度末で39%の予定でございますが、今回の前倒しにより、平成21年度末には、53%となる見込みでございます。
 
【第64回国民体育大会の九州ブロック大会について】
 平成21年度は、第64回国民体育大会の九州ブロック大会が長崎県において開催されます。この大会は、九州ブロックの代表選出のため、ブロック予選会のある34競技が県内各地で開催される予定でございますが、雲仙市では、サッカー少年男子予選が、国見総合運動公園と百花台公園を会場として、7月3日から6日までの4日間、また、ボクシング成年男子及び少年男子予選が、小浜体育館を会場として、8月13日から16日までの4日間、それぞれ開催されます。

 参加される監督及び選手は、サッカーが136名、ボクシングが120名の合計256名で、延べ約1,000人の宿泊を確保しておりますが、さらに応援者の宿泊についても誘致に努力いたしたいと考えております。

 多くの市民の皆様にもご来場いただき、平成26年の長崎国体への気運を高める大会としたいと存じます。
 
【雲仙市陸上競技場の建設について】
 平成26年に開催が予定されております第69回長崎国体におきまして、雲仙市はサッカー競技とボクシング競技の会場となることが決定しておりますが、サッカー競技会場につきましては、国体として3つのサッカー場が必要であり、既設のサッカー場では1ヶ所不足いたします。また、市内の陸上競技関係者からは、市営の陸上競技場がないため、諫早市や島原市の会場を借りて大会等を行なわなければならず、競技場レーンを使った練習もできないことなど、小中学生の競技力向上等のため、陸上競技場の建設が強く要望されております。

 そのため、これらのことを総合的に検討した結果、今回の国体事務局からのサッカー場建設要請を受け、サッカー場と陸上競技場を一体とした施設として、国体終了後も、「元気な市民づくり」のため、スポーツの振興はもとより、市民の皆様の健康づくりや各種交流など、幅広くご利用いただけるよう配慮し、多目的に活用できる施設が建設できないかと考えており、平成21年度は、その基本設計に着手するため、当初予算案において関係予算を計上させていただいております。
 
【第40回全国中学校サッカー大会の開催について】
平成21年度全国中学校体育大会のサッカー大会が、8月19日から24日まで6日間の日程で、雲仙市及び島原市において開催される予定でございますが、雲仙市におきましては、国見総合運動公園と県立百花台公園の2会場で実施されます。全国の中学校代表チームが集い、熱戦を繰り広げる本大会を歓迎しますとともに、市内の中学校からも出場できることを期待したいと思います。
 
【国の重要文化財 旧鍋島家住宅及び長屋門の修理・修復計画について】
 雲仙市国見町の神代小路地区につきましては、平成17年7月に国の「重要伝統的建造物群保存地区」として選定を受け、これまで地域住民の皆様のご理解を頂き、個人所有の家屋等の修理・修景に対し助成を行なうことにより、地域の保存・管理を推進しております。

 また、この保存地区の拠点施設であり、平成19年6月に国の重要文化財の指定を受けました「旧鍋島家住宅」には、平成19年度は年間約2万人の入場者があっており、雲仙市の観光の振興にも寄与するとともに、歴史的にも貴重な雲仙市の財産であり、次の世代へ引継いでいかなければならないと考えております。

 今回、文化庁から老朽化や白蟻被害等により、建物倒壊に繋がる危険性が高いと判断されたことから、「長屋門・家政部・隠居棟の解体修理」と「主屋・土蔵の部分修理」を平成21年度から24年度までの4カ年計画で実施したいと考え、平成21年度は『長屋門』等の解体・復元工事に着手する予定でございます。
 
【総合型地域スポーツクラブの設立について】
 雲仙市で初めての総合型地域スポーツクラブである「雲仙市がまだすスポーツクラブ」が、2月21日の設立総会を経て、本年4月1日に発足する運びとなりました。

 がまだすスポーツクラブは、雲仙市内のスポーツの振興を図るとともに、市民の「健康づくり」「生きがいづくり」「仲間づくり」を目的とし、「いつでも」「どこでも」「だれでも」「いつまでも」気軽に好きなスポーツを楽しめるスポーツクラブを目指しております。

 少子・高齢化の進行、市民のスポーツニーズの多様化に対応し、卓球、バドミントン、ソフトバレーボール、グラウンドゴルフなど、複数の競技を開催され、多世代の市民が交流できる場となるよう、期待しているところでございます。



【平成21年度当初予算(案)及び平成20年度補正予算(案)について】
 以上の取り組みを主な内容として編成しました平成21年度当初予算の総額は、一般会計252億7,452万8千円で、前年度に比べ、1.2%の減となっております。また、特別会計及び企業会計を含めた全会計合計は、371億642万5千円で、前年度に比べ、2.9%の減となっております。

 また、普通建設事業費につきましては、国が3%の減とされ、他の地方公共団体も抑制基調にある中、現在の経済状況に鑑み、市内中小企業の方々の事業量確保、下支えを図るため、本市財政が厳しい中ではありますが、あえて本市の一般会計で、4.2%の増とし、一定の事業量を確保いたしております。さらに、平成20年度第11回補正予算案に計上しております「地域活性化・生活対策臨時交付金」関連事業につきましても、約8億5千万円の普通建設事業費を確保しており、平成21年度予算と合わせると、28.5%と大幅な増額の予算を計上しております。

 市としましては、平成20年度補正予算及び平成21年度当初予算を一体のものとして、その執行に全力を傾注してまいります。

 なお、平成21年度は、本年度に引き続き、多額の財源不足が見込まれたため、財政調整基金4億円、減債基金10億円を取り崩して不足額を補てんいたしております。



 最後に、明るい話題をご報告申し上げます。

 平成20年度の「障害者週間ポスターコンクール」におきまして、南串第二小学校5年生の村上 菫(むらかみすみれ)さんが、小学生部門におきまして内閣総理大臣賞を受賞され、全国で使われる「障害者週間」のポスターに採用されております。

 また、瑞穂町の大正小学校6年生の小峰清夏(こみねさやか)さんは、「第5回もっと!チャレンジ全国コンクール」の作文部門6年生の部において、最高賞である大賞を受賞されました。

 市内の小学生がこのように活躍されることは、市内の児童生徒の励みとなるばかりでなく、市民の誇りであり、雲仙市に希望を与えてくれるものと思っております。

 お二人の快挙に対し、市民の皆様とともに拍手を送りますとともに、ご指導いただいた保護者の皆様、先生方にも併せてお祝い申し上げます。


 以上をもちまして、平成21年度の主要施策等についての説明を終わります。

 今後とも、市民の皆様と対話を進め、協調、協働して、更なる雲仙市発展に全力で取り組んでまいる所存でありますので、議員各位をはじめ市民の皆様方のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

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