旭工業雲仙工場 黒田 晃平さん =雲仙市吾妻町出身=
失敗恐れず自分で工夫する/誰かの命を守る大切な仕事
◆地元から世界へ
18歳で飛び込んだものづくりの世界。知らないことばかりで戸惑うことも多かった。あれから6年。今年から指導する立場になった。「失敗を恐れず、自分で工夫すること」。先輩たちから教わったことを、後輩に伝える仕事にやりがいを感じている。
黒田さんが勤める旭工業は、トヨタ自動車向けのシートカバー縫製を担う。雲仙工場は2016年8月、雲仙市瑞穂町で操業開始。海外モデルの車種を含むプリウスやレクサスのシートカバーを手掛けている。85人でスタートした従業員は本年度107人に増加。地元採用にこだわり、従業員の約6割は市内採用という。
黒田さんは吾妻町で生まれ育ち、県立小浜高に進学。3年生の時に就職活動で同社を知り、元々ものづくりに興味があったことや、世界に輸出する製品が地元企業で作られていることなどが、同社を選ぶ決め手となった。
◆初心と誇り胸に
入社当時は漠然と考えていた地元就職。自分の車であちこち行くようになって気付いたことがある。「身の回りにおいしいものがあふれていた」。高速道路や大型施設がなく、買い物などには不便さを感じるが、温泉や観光名所なら市内で事足りる。野菜が豊富で食べ物がおいしいことや四季折々の自然の美しさも、社会人になってから知った地元の魅力だ。
町でプリウスとすれ違うと「自分が縫ったシートかも」と誇らしくなる。そして、「人の命を預かるシートを作っているんだ」という責任感を再認識。「自分で工夫する」という初心を忘れず、速く正確に縫製するにはどうすればいいか、常に試行錯誤を繰り返してきた。
今年、結納を済ませた。誰かの命を守るため、そして新しく増える家族のため、今日も初心と誇りを胸に工夫を重ねる。
私のオススメ
四季折々の表情を見せる自然に癒やされるという黒田さん。特に好きなのは千々石町の橘公園。春には満開の桜に感動しつつも、出店巡りに目移りしてしまうと笑う。毎年、友人らと出掛けるのが恒例となっている。昼間とは違った表情を見せてくれる夜桜も見逃せない。秋の仁田峠の紅葉もお気に入り。「自然の美しさに心引かれるようになった。大人になったってことですかね」と、あどけなさが残る無邪気な笑顔を見せた。
※この企画は、長崎新聞社発行の情報紙「とっとってmotto」82号(令和5年5月26日号)に掲載されました。また、ひまわりてれびの情報番組「デイリーひまわりTims」でも動画バージョンが放送されます(5月29日予定)。
動画はYouTubeの雲仙市公式チャンネルでも公開しています。
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