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平成28年第1回雲仙市議会定例会 施政方針

最終更新日:
 本日、平成28年第1回市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位にはご健勝にてご出席を賜り厚くお礼を申し上げます。

 開会にあたり、市政運営についての所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆様のご理解とご支援を賜りたいと存じますとともに、平成28年度の主な取り組み方針等についてご説明申し上げます。

 これまで可能な限り市民の皆様と接する機会を増やし、市民の皆様のお考えなどをお聞きしたいと思い、自治会長会議をはじめ各種団体の総会や会合などに積極的に出席させていただきました。

 市長に就任させていただいた際にお誓いしたように、市民の負託に応えられるよう、市民の皆様の声に謙虚に耳を傾け、また、経営感覚を持って、市民の視点・立ち位置で、職員とともに市政運営に取り組んでまいりました。

 今後におきましても、市民のニーズに対応した効果的な施策を遂行するため、市民の目線・立ち位置で、市民の声に耳を傾け、市民とともに考え、また、雲仙市が発足してからの10年間の歩みをしっかりと踏まえ、これまでの成果を土台とし、本市の強みを活かしながら、市民の皆様に住んでよかったと本当に喜んでいただける雲仙市の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。

<更なる飛躍の年へ>
 平成17年10月11日に発足した雲仙市は、新市建設計画、雲仙市総合計画を踏まえ、旧町の課題等に対する取り組み、市の一体感の醸成や市民生活の安定に向けた市政運営に取り組んでまいりました。

 また、平成25年度から市独自の人口分析を開始し、平成26年度から定住促進奨励補助金の創設、福祉医療費の対象拡充などの施策を展開し、さらに平成27年度からは、保育園等に複数の子どもを通園させる世帯の第2子目の保育料の無料化など人口減少に資する対策に取り組んできたところでございます。

 しかしながら、全国的に地方創生の取り組みが加速化し、地域間競争が激化していることを踏まえ、本市におきましても、2060年に3万人程度の人口を確保することを目指して、市民の皆様の声を踏まえ、雲仙市の強み・特徴を活かした「雲仙市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を昨年末に策定したところであります。

 平成28年度におきましても、人口減少克服、経済活性化に対応できるよう、国・県の動向など行財政制度の変化に注視し、国の交付金、ふるさと応援寄附金等も活用しながら、「農業・漁業の担い手育成の確保」、「観光振興に向けた支援」、「子育て世帯の経済的負担の軽減」、「住環境の整備」、「低炭素・循環型産業の創出」などに取り組むとともに、一人でも多くの方の雇用が確保できるよう地域産業の活性化や企業誘致などの施策に積極的に取り組み、本市における地方創生の取り組みを加速させていくこととしております。

 なお、平成28年度が現総合計画の最終年度となることから、平成29年度を始期とする次期総合計画の策定に向け取り組んでまいりますが、これからの10年が更なる飛躍の年となるよう、まずは、現計画の数値目標の達成に向けた各種施策の着実な推進を図ってまいります。

<平成28年度当初予算案について>
 一般会計の予算額でございますが、272億8,864万9千円で、前年度に比べ、0.8%の減となっており、特別会計及び企業会計を含めた全会計合計は、391億7,087万4千円で、前年度に比べ、1.4%の減となっております。

 国の経済・財政状況におきましては、雇用・所得環境の改善により、緩やかな回復基調が続いている一方、GDPの2倍程度に膨らんだ債務残高の更なる累増が見込まれるなど、今後、経済再生とともに財政健全化の達成が最重要課題とされる中で、経済財政運営の根幹である「経済財政運営と改革の基本方針2015」においては、消費や投資の拡大に結び付く経済の好循環の拡大や人口減少と地域経済の縮小の悪循環の連鎖に歯止めをかける「まち・ひと・しごと創生」など、経済再生に向けた取り組みが今後の課題として示されております。

 本市における予算編成につきましては、このような国・県の動向など十分注視することはもとより、平成28年度が総合計画後期基本計画の最終年度であることから、目標達成に向けた取り組みを強化すること、また人口減少の克服や地域経済の発展、活力ある地域社会の形成に向けた「雲仙市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に係る取り組みなどを重点的事項としております。 

 併せて、平成28年度より始まる合併算定替えの段階的縮減を踏まえて、中期財政計画に基づく健全な財政運営を基本とし、優先すべき事業の重点化を図りながら、予算編成を行ったところでございます。

 それでは、平成28年度における主な取り組みについて、「雲仙市総合計画」の6つの基本方針に沿って、ご説明いたします。

1.みんなでつくるまちづくり
○『参加と協働』の分野について
 自治会や市民団体の活動支援につきましては、市民参加による協働のまちづくりを推進するため、自治会や市民団体が自主的かつ活発的に活動ができるよう、引き続き自治会活動活性化交付金や地域づくり補助金等による活動支援により地域コミュニティの醸成に努めるとともに、各団体の活動がより効果的な活動となるよう、横断的な取り組みにより支援してまいります。

 ふるさと応援寄附につきましては、これまで以上の寄附額の増を目指し、特産品のPRを推進するため、寄附者が魅力ある雲仙市の特産品を選ぶことができるよう、謝礼品メニューの増加に取り組んでまいります。

○『行政運営』の分野について
 行政運営につきましては、昨年の第4回定例会で可決いただいた雲仙市役所部設置条例に基づく平成28年度からの新たな組織体制での運営を開始することになりますが、「市民の皆様の利便性の向上」、「事務処理の効率化」、「指揮命令系統の明確化」など、将来の組織・機構の再編方針に掲げた目的達成に向けて全庁一丸となって取り組んでまいります。

 行政改革につきましては、現在、平成28年度から平成32年度までの第3次雲仙市行政改革大綱並びに実施計画策定に向けた最終調整の段階でございますが、社会経済情勢の変化や、多様化する市民ニーズに対応するためには、業務や経費の見直しなど、常に最適な行政サービスを提供する必要があることから、新たな行政改革大綱に基づいて、引き続き様々な改革を進めてまいります。

 財政運営の指針となる中期財政計画につきましては、将来に亘り健全な財政運営を図るため、平成29年度から5カ年を期間とする「第3期中期財政計画」の策定に取り組んでまいります。

 入札制度につきましては、平成26年度より建設工事の一部に、電子入札を導入しておりますが、平成28年度から原則として全ての建設工事及び建設コンサルタント等業務の入札を電子入札方式で実施し、入札制度の公正性を確保するとともに事業者の負担・市の事務量の軽減を図ってまいります。

 収納推進につきましては、口座振替制度の利用による自主納付の拡大や、ファイナンシャルプランナーの活用による生活改善の提案を促進するとともに、滞納整理などにおいても強力に推進し、財源確保の強化に取り組んでまいります。

 庁舎整備につきましては、平成26年10月から進めてまいりました市役所増築工事も平成28年1月に竣工し、2月8日から供用を開始いたしました。引き続き、市役所の内部改修や駐車場整備に取り組むとともに、周辺環境の変化に対応するため、道路整備にも取り組んでまいります。また、市民サービスの更なる向上を図るため、千々石庁舎の内部改修工事、国見総合支所の新築工事、南串山総合支所別館の内部改修工事及び南串山図書室の設計に取り組んでまいります。愛野コミュニティセンター(仮称)につきましては、昨年、建築の専門家や市民の代表で組織された検討委員会からの提言書を受け、基本構想・基本計画(案)を整理したところでございます。今後、プロポーザル方式により設計業者を選定し、設計作業に取り組んでまいります。

 公共施設の建物等の維持管理につきましては、今後、多額の費用が見込まれることから、雲仙市のまちづくりや、施設の利活用の状況等を踏まえ、施設の適正配置と将来的な財政負担の軽減・平準化を図るため、「雲仙市公共施設等総合管理計画」を策定いたします。

2.快適で住みよい暮らしづくり
○『定住及び住環境』の分野について
 定住促進対策事業につきましては、本市への定住人口の増加を図り、移住・定住者の希望に応えるため、従来の補助制度に加え、県外からの移住希望者が、空き家バンク制度を活用して移住する場合の木造戸建住宅の空き家リフォームに対する補助制度を創設いたします。また、UIターンの促進につきましては、移住先として雲仙市が選択されるよう、移住に関する情報発信を強化するとともに、移住希望者の不安の軽減を図るため、雲仙市の生活を体験できるお試し住宅の活用や移住相談について、地域おこし協力隊の活動と連携させながら取り組んでまいります。

 婚活支援につきましては、婚活を行う方々へ情報提供と、良縁に恵まれるために必要なスキル習得を目的とした婚活支援講座を開催するとともに、市内で活動する婚活支援団体と連携を強化し、婚活イベント等、団体の活動を支援してまいります。

 住環境につきましては、まず、木造住宅の耐震化につきまして、地震等の災害に強い住宅及び建築物を目指し、耐震診断や改修工事費補助制度の周知に努めながら、耐震化の促進に取り組んでまいります。また、大規模建築物の耐震化につきましては、現行の耐震診断費及び耐震改修計画作成費補助に加え、耐震改修工事についても補助制度のあり方について研究を重ね、耐震化の促進を図ってまいります。老朽化した空き家の問題につきましては、除却費用の一部を補助する制度を創設し、地域の安全・安心な住環境の向上を図ってまいります。

 水道事業につきましては、安全・安心な水道水の安定的な供給に努めるため、各水道施設の統廃合及び更新を行い、老朽水道管の更新につきましては、耐震管による布設替えを計画的に行ってまいります。なお、千々石地区簡易水道統合事業につきましては、平成28年度の完成に向けて取り組んでまいります。また、この度の記録的寒波の影響により、水道管の凍結、破損が相次ぎ、市内全域で漏水が多数発生したため、一部の地域では時間断水を余儀なくされました。この教訓を活かし、緊急時や災害時等において、迅速な給水活動を確保するため、給水車を配備してまいります。

 下水道事業につきましては、生活環境の改善と公衆衛生の確保及び公共用水域の水質保全のため、施設の適正な維持管理と接続推進に努めるとともに、下水道事業の経営健全化に向けて、下水道使用料等の統一と、地方公営企業法適用移行のための準備を進めてまいります。また、下水道等区域以外につきましては、浄化槽の設置補助金の上乗せを行い、汚水処理人口の普及による環境整備を図ってまいります。

○『安心・安全なまちづくり』の分野について
 市民の安心・安全なまちづくりにつきましては、消防団を中核とした防災力の充実強化を図るとともに、災害に対する備えや市民の意識向上を図るため、防災関係機関と連係し「防災訓練」を実施いたします。また、減災の考えに立ち、被害を最小限にとどめるため、自主防災組織による地域の実情に即した情報などを地図に記載した「マイ防災マップ」の作成支援を行いながら、災害が発生した場合の災害情報の収集、伝達体制の整備を推進してまいります。なお、災害時における高齢者等の安心安全の確保につきましては、市民の皆様の意識の醸成と、「地域は地域のみんなで守る」という共助の意識を高め、避難行動要支援者台帳及び地域ささえ愛マップの整備並びに自治会における要支援者の避難支援訓練の実施を推進してまいります。

 小浜消防署の建替えにつきましては、用地の選定と併せて、強い要望があっております南部地域の「救急車の到着時間の短縮」と、雲仙市全体の消防・救急の再構築を図るため、南部地区へ分署を増設する方向で協議を進めたいと考えております。このため外部委員会を設置し、建設候補地の選定や効率的運営方法などを諮問してまいります。

 海岸保全施設の整備につきましては、台風等の高潮から住民の生命・財産を守るため、南串山赤間漁港海岸高潮対策事業に引き続き取り組んでまいります。

 長年要望しておりました瑞穂町西郷港と国見町長浜海水浴場間の越波対策事業は、県事業により、平成27年度に測量・設計が終わり、平成28年度より工事に入ることとなっております。また、南串山町赤間から加津佐町権田間につきましては、地元関係者と調整後、工事着手の予定となっております。

 急傾斜地崩壊対策につきましては、平成27年度に測量設計業務が完了した、瑞穂町横田地区の急傾斜地崩壊対策事業を実施してまいります。

 老朽化した河川護岸の対策につきましては、引き続き4河川において改良事業を行い、災害の未然防止に努めます。なお、1級河川山田川につきましては、県事業により平成26年度から島原鉄道橋の架け替え工事に着手し、平成28年10月に島原鉄道橋の架け替え工事が完了する予定となっており、その後は新田堰の整備・船津橋の架け替え工事など順次整備を行ってまいります。

○『安心・安全な暮らし』の分野について
 防犯対策につきましては、防犯灯の整備を推進するため、LED防犯灯の設置等にかかる補助加算を引き続き行うことにより、自治会の防犯灯維持費の軽減を図るとともに、夜間における犯罪の防止と安全を確保してまいります。また、市と地域防犯団体が中心となり、「地域の安全は地域で守る」を合言葉に、防犯活動の推進と防犯力の強化を推進してまいります。

 消費者行政につきましては、年々複雑・巧妙化している悪質商法等の手口により消費者がトラブルに巻き込まれる危険性が高まっており、特に、高齢者の相談が多いことから、被害を未然に防止する啓発活動の強化を重点課題とし、今後も、市民の皆様が安全に安心して暮らせる地域社会づくりを目指し、より一層の消費者行政の充実を図ってまいります。

○『道路網・交通体系』の分野について
 道路につきましては、地域社会の発展や、災害時の緊急物資の輸送など、市民生活に果たす役割が極めて高く、まちづくりを考える上で最も重要な施設の一つであることから、旧町から引き継いだ事業の早期完成を目指すとともに、道路の拡幅・改良及び橋梁など道路施設の老朽化に伴う維持補修について、緊急性等を考慮し計画的に整備を進めてまいります。

 地域高規格道路「島原道路」につきましては、南島原市深江町から諌早市貝津町に至る延長約50kmの自動車専用道路であり、県央地域と島原半島の連携の強化、島原半島地域の地域振興や救急医療体制強化を支援する重要な道路であります。現在、愛野町から吾妻町区間の吾妻愛野バイパスにつきましては、愛野ICから吾妻町広域農道取付までの約1.7km区間を平成29年度完成目標として工事が進められておりますが、1月14日に、長崎県と4市により未着手区間の吾妻町から島原市有明町までの15kmのうち、瑞穂町から吾妻町間の約6kmの新規事業化を要望したところであります。引き続き島原道路の早期完成を目指し要望してまいります。

 愛野町から小浜町までの道路整備につきましては、防災面や流通の確保が喫緊の課題であることから、早期整備として現道改良による機能強化の早期実施に加え、将来的な整備としてバイパス整備を含む4車線化の要望に取り組んでまいります。なお、国道251号の南串山町白頭地区において、現在、法面工事により交通が規制されております箇所につきましては、管理者である長崎県へ要望協議を進め、平成27年度内の完成を目指してまいります。

 公共交通につきましては、島原鉄道株式会社の厳しい経営状況等も考慮しつつ、生活交通路線バスの確保に努めるとともに、鉄道事業においては、島原市、諫早市と連携をとりながら、鉄道設備等の財政支援を行い、市民の皆様の利便性の維持を図ってまいります。また、九州新幹線西九州ルートの開業を見据え、地域住民の生活交通及び観光客の利便性の向上を図るため、島原半島への広域的な二次交通体系の再編について、九州新幹線西九州ルート県南地域活性化協議会において協議し、取り組んでまいります。

○『高度情報化』の分野について
 情報化の推進につきましては、電算システムによる業務の簡素化・省力化に向けた検証などを行うとともに、情報セキュリティ対策を更に強化するなど、安全・安心な運用に十分配慮した情報化施策を推進してまいります。

○『新エネルギー』の分野について
 新エネルギーの導入につきましては、平成23年度より小浜温泉地区で温泉熱を利用した発電事業に取り組み、一定の成果を挙げたところでございますが、平成27年度からは、自然資源である森林や畜産排泄物を活用し、発電や熱を創出しようとする「低炭素・循環・自然共生地域創生実現プラン策定事業」に、島原半島三市が連携して取り組んでおり、平成27年度中には半島の実現プランが示されることから、本事業の成果をもとに、再生可能エネルギーによる低炭素社会を実現していくため、更に取り組みを強化してまいります。なお、平成28年度におきましては、これまで民間会社により開発が進められてきました温泉熱を利用した小規模発電実証事業を引継ぎ、現状に即した熱利用の効率化にも併せて取り組んでまいります。

3.笑顔いっぱいの健康と福祉づくり
○『健康』の分野について
 各種健(検)診の受診率向上につきましては、新たに、結核・肺がん、大腸がんの夜間検診に取り組んでまいります。併せて、生活習慣病の発生予防、重症化予防対策につきましては、地元医師会との連携を深め、従来から行っております個別指導を充実させるとともに、近年、糖尿病性腎症が原因で人工透析を余儀なくされる患者が増加していることから、新規人工透析患者の発生を抑制し、患者の生活の質の向上並びに医療費削減に向け医師と連携を図りながら、「糖尿病性腎症重症化予防事業」に取り組んでまいります。

 在宅医療の推進につきましては、雲仙市在宅医療推進協議会において協議を継続し、関係者の連携強化並びに情報の整理と共有を行い、市民の皆様への周知にも努めてまいります。

 子どもの休日や夜間の救急時の対応につきましては、諫早市と連携した「諫早市こども準夜診療センター」に加え、平成28年度から地元医師会並びに島原半島三市と連携した「長崎県島原病院における小児の休日診療」の運営支援に取り組んでまいります。

○『福祉』の分野について
 地域福祉につきましては、「誰もが安心して住み続けることができる地域社会づくり」を目指して、平成27年度策定の第2期地域福祉計画に基づき、市民、福祉関係者、行政の協働による「地域ふれ愛ささえ愛事業」を推進してまいります。

 高齢者福祉につきましては、高齢者交通費助成事業の拡充を行うことにより、高齢者の経済的負担を軽減するとともに、住み慣れた地域社会の中で引き続き生活していけるよう取り組んでまいります。また、10月に島原市との共催で開催いたします「ねんりんピック長崎2016サッカー交流大会」には、全国から選手・監督をはじめ、多くの方が雲仙市へ来られますが、来場された皆様の心に残る大会となるよう「おもてなし」に努めるとともに、大会の成功に向け、万全の準備と円滑な大会運営に努めてまいります。

 障害者福祉につきましては、障がいのある人の工賃アップなどについて、市内の障害者就労事業所と意見交換会を実施するとともに、障害者職場実習促進事業の拡充により、実習の場の確保を更に推進し、障がいのある人の就労支援に努めてまいります。また、障害者交通費助成事業の拡充や、昨年度から実施しております特別支援学級への通学支援事業の更なる推進を図り、障がいのある人や障害児の保護者等の経済的負担軽減と自立更生の促進を図ってまいります。

 低所得者福祉の充実につきましては、効果的・効率的な実施を図るため、生活保護に至る前の段階から、庁内関係部局及びハローワークと連携し支援を行う、生活困窮者自立支援の推進及び生活保護者の就労等の支援の充実に努めるとともに、最低生活補償のため要保護者に対する適正な保護に努めてまいります。

4.力強い産業と仕事づくり
○『農林水産業』の分野について
 雲仙市の基幹産業である農林水産業の振興につきましては、地域の特色を最大限に活かした、豊かで魅力ある農林水産業の更なる振興に向け、昨年、『雲仙市農林水産業振興計画』を策定いたしました。農林水産業に携わる生産者等が「経営力・生産力・販売力・連携力・組織力」を高める施策の展開を図り、本市農林水産業の持続可能な発展を目指してまいります。

 農業の振興につきましては、現在の農業を取り巻く環境は、担い手不足や産地間競争の激化、輸入農産物に係る関税の撤廃等の問題を踏まえ、更なる振興を図るため、生産環境の整備、農地の有効利用、生産性向上とコスト縮減等に取り組むとともに、特に「担い手の確保・育成」といたしまして、新規就農者や新規参入者対策への取り組みを重点的に行ってまいります。

 農業生産基盤の整備につきましては、県営事業により現在3地区で実施されておりますが、平成27年度の国の予算割当は大変厳しく、八斗木及び山田原第2地区では、当初割当事業費が、予算要求額の3分の1程度でございました。機会あるごとに、県とともに予算確保の要望を行ってまいりましたが、今回、国の補正予算により一定の事業費が確保される予定であることから、今後、更に早期完成に向け推進してまいります。また、新たに4地区において基盤整備事業を推進しており、愛津原地区において平成28年度の新規採択が予定されておりますが、残る3地区につきましても地元関係者との連携を図りながら、今後さらに事業化に向けた積極的な推進体制を構築してまいります。

 畜産につきましては、特に中心となる肉用牛部門にあっては、地域一貫生産体制の確立を目指すため、優良繁殖牛地帯の育成を目指した家畜導入事業を積極的に推進し、飼養規模の拡大と維持を図ってまいります。また、市単独事業による優良雌牛保留の更なる推進や、優良肥育素牛導入への支援を行いながら、長崎和牛の一角を担う、雲仙市産まれの雲仙市育ちにこだわった品質の良い「雲仙牛」の産地形成を目指します。更には、地域畜産の収益性向上を図るための施設整備等の取り組みができる畜産クラスター事業を推進してまいります。

 林業につきましては、森林整備として、森林の利用間伐施業及び作業道整備を行いつつ、間伐促進と併せ植林の推進を図ってまいります。また、私有林における持続可能な森林経営を図るため、森林所有者と林業事業体との間で施業の長期受委託契約の締結を促進し、森林経営計画の策定と施業の実施を一体的に取り組むことができる体制づくりの支援に取り組んでまいります。

 水産業につきましては、各漁協ごとに漁業所得等の増加を目的として策定されました、『浜の活力再生プラン』による事業推進を図るため、新規漁業就業者への支援を強化し、併せて栽培漁業、養殖漁業の推進や、漁場環境の保全等を推進してまいります。

 諫早湾干拓事業潮受堤防排水門の問題につきましては、2つの判決の解決に向け、長崎地裁において和解勧告が出されましたが、和解協議についての進展が不透明な状況でございます。今後も、様々な動向に注視していくとともに、市としましては、市民の安心・安全、雲仙市の農業・漁業を守ることを第一に考え、長崎県及び諫早市と連携を図りながら対処してまいります。

○『商工業・企業誘致』の分野について
 商工業の振興につきましては、中小企業者の運転資金や設備資金に対する融資制度により経営基盤の安定化を図るとともに、創業や新規出店、経営の持続化に対して支援を行い、新商品の開発、販路拡大による商工業の活性化に取り組んでまいります。

 地場産業の振興につきましては、創業や経営改革の取り組みに対して支援を行うとともに、昨年度国の交付金事業を活用し創設をいたしました「魅力ある職場づくり支援事業」を引き続き実施することにより、地場企業の人材育成や収益性及び魅力を向上させ、職場定着率の向上を図り、企業の新たな事業展開を支援してまいります。

 企業誘致につきましては、平成25年に策定した「雲仙市企業立地推進方針」に基づき、雲仙市の自然環境や産業などの地域資源を最大限に活かし、製造業を中心とした企業誘致に積極的に取り組み、経済の活性化と雇用の場の確保に努めてまいります。また、多比良港埋立地につきましては、新たな土地としての手続きが完了することから、企業誘致に向けた環境整備に努めてまいります。

○『物産販売』の分野について
 物産販売の促進につきましては、消費者に信頼され、選ばれる「雲仙ブランド」の再構築を図るとともに、大都市圏を中心とした物産展・商談会への参加や、県が東京にオープン予定のアンテナショップの活用などにより、雲仙市の特徴ある農畜水産物や魅力あるこだわりの産品を、できるだけ多くの消費者の皆様に対してPRし、販売促進を図ってまいります。また、私自身もトップセールスとして、団体等と連携しながら、引き続き積極的に様々な市場や企業等を訪問し、雲仙市の特産品をセールスしてまいります。併せて、大手スーパーのバイヤーなどを招聘し、市内の生産者や製造・加工業者の方々との商談の機会を積極的に創出し、販路拡大による所得向上を図ってまいります。

5.新しい観光・交流による活力づくり
○『観光』の分野について
 観光振興につきましては、これまで、更なる観光の活性化を図るため、市観光事業等の整理を行うとともに、島原半島三市が一体となって観光誘客や観光地づくりに取り組むことを目指してきました。

 平成28年2月22日の「島原半島活性化会議」において、島原半島内の観光協会を島原半島観光連盟に一本化し、組織体制や機能を強化するという方針について確認されたところであり、今後、島原半島の一体的な観光振興につなげてまいりたいと考えております。

 平成28年度は、JRグループ等による大型観光キャンペーン「長崎デスティネーションキャンペーン」、「ねんりんピック長崎2016」などが予定されていることから、国内外から島原半島へこれまで以上に多くの観光客に足を運んでいただけるよう、県や島原半島内の関係団体と一体となって、周遊ルートの開発やガイドの育成をはじめ、より効率的・効果的なセールス活動や情報発信に、積極的に取り組んでまいります。また、外国人観光客の誘客につきましては、多言語案内表示の整備など地域の受入環境整備の支援などにも取り組んでまいります。

 交流事業につきましては、引き続き、韓国求礼郡との中学生や各種団体による相互交流を行い、異国の文化、伝統、生活様式等に直に触れながら、相互理解、国際感覚豊かな人材の育成を図ってまいります。また、霧島市との交流につきましては、観光姉妹都市盟約締結10周年という節目の年を迎えることから、これまで以上に、両市や民間団体が連携しながら観光情報発信に努めるなど、交流人口の拡大を図ってまいります。

6.明日を担う人づくりと誇りあるふるさとづくり
○『子育て』の分野について
 子育て支援につきましては、子ども一人一人が、健やかに成長できるよう、子どもとその保護者に対する支援を充実させるなど、推進を図ってまいります。主な取り組みといたしましては、子育て世帯の経済的負担軽減のため、これまで同時に通園している2番目の児童の保育料を無料にするとともに、小学4年生以下の児童を3人以上扶養している場合における、3人目以降の児童の保育料を無料としておりました「すこやか子育て支援事業」を拡充し、第1子の年齢にかかわらず第2子以降の児童が、保育園等を利用する場合の保育料を全て無料化いたします。また、「放課後児童クラブ」の増設に向けた取り組みを図るとともに、併せて、保護者等からの相談に応じ、子育てや教育・保育の利用に必要な情報の提供、助言などの支援を行う、子育て相談利用者支援事業を開始し、子育て環境の整備を図ってまいります。

 母子保健事業につきましては、高額となる特定不妊治療費の助成事業に取り組み、特定不妊治療を行っている夫婦の経済的負担の軽減を図ります。

 歯科保健対策につきましては、引き続き「フッ化物洗口事業」の推進等により、乳幼児のむし歯予防対策に努めるとともに、妊産婦を対象とした妊産婦歯科健康診査の実施に取り組んでまいります。

○『教育』の分野について
 学校教育につきましては、個に応じた学習支援や教育相談活動、学校図書館を中心とした環境整備や読書活動推進に向けたスクールサポーター配置事業を継続するとともに、学校教育課に配置した訪問指導員による、不登校児童生徒等に対する訪問指導や相談活動など直接的な支援活動を行ってまいります。特に、児童生徒のいじめ問題等への対応につきましては、これまで以上に、学校の組織的対応とともに、学校・保護者・地域、関係機関との積極的な連携を推進し、早期発見・早期対応に取り組んでまいります。また、小学校3年生から中学校2年生までを対象とした学力調査事業を展開し、市内児童生徒の学力向上を目指してまいります。

 学校給食センターにつきましては、施設の老朽化及び児童生徒数の減少に対応し、適正な運営に努めてまいります。

 教育環境の整備につきましては、老朽化した学校施設の大規模改修工事を実施し、児童生徒の安全の確保に努めるとともに、電子黒板等を活用したICT教育を推進するための機器の整備等、引き続き快適な学習環境づくりに取り組んでまいります。

 通学路の安全対策につきましては、安全対策の必要な全62箇所のうち、平成27年度末までに41箇所の対応を図り、平成28年度におきましては、21箇所の対応を進めることとしております。今後も、通学路における児童生徒の安全確保のため、順次安全対策を講じてまいります。

○『生涯学習・生涯スポーツ』の分野について
 生涯学習につきましては、「市民一人一人がいくつになっても自己実現や生きがいづくりに取り組むための、多様な生涯学習プログラムの提供」の充実を図るため、講座、講演会、研修等、各種生涯学習事業を展開し、自主活動の推進を図るとともに、図書ボランティアと連携し、本とともにある暮らしの推進を図ってまいります。また、いじめや詐欺などインターネットをはじめとした、メディアに関わる犯罪から子どもたちを守るための取り扱いについて啓発を進め、保護者並びに子どもに対し細やかなメディア安全教育を推進してまいります。

 生涯スポーツの振興につきましては、市民の皆様の多様なスポーツニーズに応えられるよう、社会体育施設の適切な管理運営を行いながら、スポーツ活動の「場の提供」に努めてまいります。また、雲仙市体育協会等の競技スポーツ団体や雲仙市レクリエーション協会等の軽スポーツ団体など、既存のスポーツ団体の活動支援を行うとともに、昨年の市民大運動会で実施しました「ラジオ体操」や軽スポーツの普及推進など、運動・スポーツの「機会の提供」に努めてまいります。

○『芸術・文化活動』の分野について
 芸術・文化の振興につきましては、市民の芸術・文化に対する関心を高めるため、雲仙市文化会館自主文化事業振興会と連携したホール事業の展開や、アーティストによる訪問型のコンサート開催などにより、文化芸術に接する機会を提供してまいります。併せて、小中学生や市民の文化水準の向上を推進するため、引き続き、文化関係大会出場への補助金や激励費による支援を行ってまいります。

 市の歌の作成につきましては、市民の皆様から愛され歌い継がれる雲仙市の歌となるよう、取り組んでまいります。

○『文化財』の分野について
 埋蔵文化財につきましては、文化財保護と活用を推進するため、市内の文化財を紹介する冊子の作成や、発掘調査等で出土した遺物の展示公開を図ってまいります。また、郷土の歴史への理解を深めるため、郷土史会と連携して歴史講座の開催に取り組んでまいります。

 国見町神代小路地区の武家屋敷群につきましては、防災計画を策定し災害への対応を図るとともに、鍋島邸収蔵資料の調査整理に取り組み、公開活用による集客に努めてまいります。

 以上が、平成28年度の主要な取り組みでございますが、急激な少子高齢化や転出超過による人口減少、景気低迷など克服すべき課題も多く、地方自治体は自らの意思と責任に基づき、地域の特性を活かしながら、社会経済情勢の変化に柔軟かつ弾力的に対応していくことが求められております。

 特に、地方創生につきましては、雲仙市の特色を活かした施策に取り組み、その対策を講じていく必要があるため、今後におきましても、国・県の動向に注視するとともに、財政基盤の確立を図り、雲仙市の将来像である「豊かな大地・輝く海とふれあう人々で築くたくましい郷土」の実現に向け、「市民が主役」、「市民総参加」を旨として、市の総合計画に基づき各種施策を実施するとともに、課題の一つ一つを着実に解決し、また、これからの10年が、更なる飛躍の10年となりますよう、職員とともに市政運営に全力を傾注してまいりますので、議員各位並びに市民の皆様に、市政へのご支援とご協力を心からお願い申し上げまして、平成28年度の主な取り組みを踏まえた施政方針といたします。
添付ファイル
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