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平成17年12月定例議会所信表明

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本日、ここに平成17年12月定例市議会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、ご健勝にてご出席を賜り、厚くお礼を申しあげます。
本年10月11日、国見町・瑞穂町・吾妻町・愛野町・千々石町・小浜町・南串山町の七町が合併して雲仙市が誕生して以来、最初の定例会でございますので、諸議案の説明に先立ちまして、お許しを得て、市政に対する所信の一端を述べさせていただき、議員各位はじめ市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

今、地方自治体を取り巻く環境は急激に変化し、まさに、歴史の大きな転換期にあります。



〔市町村合併〕


 まず、市町村合併についてですが、合併特例法が改正された平成11年を「平成の大合併」の起点とすると、当時3232あった市町村は、17年12月5日現在2143市町村になり、平成18年3月末には、1821市町村になると見込まれています。
 長崎県内では79市町村が、現在36市町、3月末には23市町になります。これはすべての市町村が、地域の将来を真剣に考え、合併に踏み切るか、単独で行くかを悩みに悩み抜いたうえで、決定した結果に、ほかなりません。
 これを契機として、なお一層の地方分権改革を進めていく必要があります。



〔三位一体の改革〕


 三位一体の改革は、国と地方の税財源配分のあり方と、これに伴う国庫補助負担金、地方交付税のあり方の見直しを一体的に行おうとするものです。その目的は、何よりも自主財源を増やし、地方の財政運営の自主性を強めることにあります。すなわち、これまでの中央集権的な財政構造から分権型社会にふさわしい財政構造へと転換するために、地方税、国庫補助負担金、地方交付税を連動させて改革し、地方分権を推進することが本来の意味であります。
 3兆円規模の税源移譲に見合う国庫補助負担金廃止の具体案「国庫補助負担金等に関する改革案」も、このような三位一体の改革の実現を目指したものですが、昨年11月26日の政府・与党合意では、地方の改革案で示した国庫補助負担金のうち、税源移譲に結びついたものは2兆4千億円余りでした。
 また、17年度に先送りされた6千億円規模の税源移譲も今年11月30日に一応の決着はみたものの、補助負担金の削減分を、移譲された税源からの税収によって確保することは難しい状態にあります。
 真の分権改革を推進していくためには、地方の改革案に沿った改革をぜひとも実現していく必要があります。



〔地方交付税〕


 今回の三位一体の改革の論議によって、地方にとって永年の課題であった税源移譲の途が開かれたこと、しかも所得税から住民税へという基幹税による税源移譲であることは、大きな前進であったと受け止めることができます。しかしながら、人口が少なく課税客体に乏しい市町村にとっては、税源移譲により行われる国庫補助負担金の削減に見合う税収を確保できるかどうかが懸念されます。
 このため、改革の前提条件として、「税源移譲が行われても、移譲額が国庫補助負担金廃止に伴い財源措置すべき額に満たない地方公共団体については、地方交付税の算定等を通じて確実に財源措置を行うこと」を市長会で要望しているところであります。
 このことについて、昨年の政府・与党合意でも税源移譲に関して、「地域間の財政力格差の拡大について確実な対応を図る」ことを明記してあります。また、「平成17年度、18年度は、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保する」と市長会で要望しているところであります。
 市町村の財政運営にとって、地方交付税は極めて重要な地位を占めています。しかしながら、依然として、市町村の現場の実情を無視ないし軽視するような、地方交付税の削減・見直しの動きが出ていることも事実であります。
 地方交付税は、決して地方財政の赤字を補填するために存在しているわけではありません。財政力格差があっても国民であれば基本的、標準的サービスを受けることができるようにすることが、地方交付税の「財源保障機能」と「財源調整機能」を通じて実現されるわけであります。
 三位一体の改革が進められているこの時期に、地方交付税の持つ両機能の堅持と必要な総額の確保が不可欠であることを、強く訴えていくことも市長の重要な職務だと任じております。
 構造改革、財政改革の名のもとに、地方が一方的に切り捨てられつつある現在の行財政、経済状況のもとでは、地域間格差がよりいっそう顕在化、拡大化しつつあります。

 地方分権、三位一体、少子高齢化、グローバル化、高度情報化、地球規模での環境問題、また、道州制が議論の対象になり、日本の人口が今年後半をピークに減少傾向に入ったとも言われております。あらゆる意味で、国と地方の役割のあり方が問われ、従来の方法論の見直しが進んでおります。つまり、現在は、これまでの常識が非常識になる可能性をはらんでいるという大変な状況にあるわけです。
 こういった大きな潮流の中で、地方自治という大きな舵を操り、この荒波を乗り越え、いかに自ら輝ける地域を形作っていくのか、地域の個性や魅力を最大限に引き出していくのか。こういった時期に要請されるのは、変化に対応できる多面的な人材であり、その柔軟な発想であります。そして、地方自治体の首長と議会のリーダーシップが、何よりも重要であろうと思います。

 私は、『安心と夢』市民総参加のまちづくりを公約に、雲仙市長に立候補いたしました。選挙期間中は、合併する旧七町全域をくまなく回り、それぞれの住民の皆様に、現在の旧七町が置かれている実態や私の政治政策を素直にお話しいたしました。
 合併後の市政運営は更なる改革が必要であることや、新しい雲仙市を創りあげていくうえで、市民の皆様の意欲と能力をお借りしながら、市民の皆様が主役で、市役所はそのお手伝いをするということを訴えてまいりました。
 また、市民の皆様の合併に対する熱い期待と多少の不安を感じ、改めまして市民の皆様と同じ目線に立って、あらゆる課題の解決に挑戦すべきだということを強く実感したところでございます。
 本市に集った七カ町は、それぞれ独自の文化と固有の自然・歴史を有しています。これまでは、それぞれがそれぞれの立場で事業を行ってきましたが、合併により、これらは雲仙市民共有の財産となりました。
 私は生まれ育ったふるさと雲仙市をこよなく愛しております。そして、雲仙市という全国的に有名な名称に大きな可能性を感じております。
 将来を背負っていく子どもたちと、今の時代を担って懸命に生きておられる方々、そして、戦後の奇跡的な復興を実現し豊かな社会を与えていただいた高齢者の方々のために、何ができるか、はたまた、何をしなければならないかということを常に肝に銘じ、当面する問題の解決のみならず、10年先、20年先、50年先を見据えた雲仙市のあるべき姿を想像し、全力を傾けてまいります。
 市民の皆様が、この雲仙市に誇りを持ち、住んでよかったという市にするために、私は市民の皆様からいただいた一票一票の重みを感じながら、市民や市議会議員の皆様のご指示とご期待に応えるべく、今後4年間の市政運営に全力で取り組んでまいる所存であります。今後とも、皆様方の温かいご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。

 それでは、以下、今後の市政運営にあたっての、私の基本姿勢について、所信を申し述べさせていただきたいと存じます。



『安心と夢』市民総参加のまちづくり


 一つ目は、「『安心と夢』市民総参加のまちづくり」です。
 行政の最たる存在価値は、住民の安全と安心を守ることであります。国は国民の、県は県民の、そして、市は市民の安全と安心を守ることこそが行政の務めなのです。これは私の確固たる信念であります。
 行政の根本は、まず、市民の皆様が安心して生活できる環境をつくることです。そして、そのうえに立ってはじめて「夢」を語り、市民の皆様の総参加を得て、まちづくりを行って行きたいと思っております。



農漁業の振興、『雲仙ブランド』の確立


 二つ目は、「農漁業の振興、『雲仙ブランド』の確立」です。
 いわゆる食と農業に係わる産業の市場規模は、平成14年全体で57兆4千億円と巨大な産業であり、人は食べなければ生きていけない以上、不況を受けにくい産業であります。そのうえ、近年のBSE、鳥インフルエンザ、産地偽装問題などにより、食品の安全性に対する消費者の関心が高まっております。つまり、顔の見える生鮮食料品と名前の知れ渡ったブランド品に人気が集まっております。
 当地、雲仙市には、じゃがいも、いちご、畜産、棚田米、しいたけや魚など、素晴らしい素材の品が揃っております。これまでは、それぞれがそれぞれに生産、販売を行っていましたが、これからは、雲仙という全国に名だたる名前を冠し、雲仙ブランドとして確立、生鮮で安全な食品を欲する人々に対し、インターネットを使った全国販売や、地元特産品のみを対象とした都心レストランでの試食会などを行い、農漁業の振興を図ってまいります。



観光交流都市の推進と商業振興


 三つ目は、「観光交流都市の推進と商業振興」です。
 雲仙市には、過去から各地に連綿と続く伝統と文化があります。
 北の有明海、西の橘湾・諫早湾など、すぐそこまで迫っている海、多良岳に代表される市街地に近接する山、潮受け堤防、黄金色に染まった棚田、そして、雲仙岳。類まれな、明媚な風景があります。そして、温泉とゴルフ場という二大観光施設が存在します。また、肥沃な土地と何より素朴な人情があります。その素材を活かした観光客の誘客商品の開発を行い、観光交流都市を推進いたします。
 少子化、高齢化が進み、人口減少が全国的な傾向として進むなか、商業の振興は、まず何よりも購買人口を増やすことにあります。そのため、2007年問題と言われる団塊の世代の退職をターゲットにしたUターン、Iターン対策を行うなど購買層の増加を図ってまいります。



未来につなぐ人材育成と福祉の充実


 四つ目は、「未来につなぐ人材育成と福祉の充実」です。
 組織は人なりと申しますが、全ての源は「人」であります。ここ、雲仙市には、素晴らしい若者たちと女性たちがいます。これからは、そういう人たちを雲仙市の宝として、ただそこに住むだけの人材から、社会の財産になる人材に育てていくために、各種研修会や勉強会などの自己研鑽のためのお手伝いをさせていただきます。
 雲仙市は、平成12年の国勢調査の時点で、65歳以上の高齢者の方々が24.1%と県平均の20.9%を上回っています。自分や配偶者が病気や寝たきりになること、身体が不自由になり介護が必要になること、そのために生活の収入が減少すること、これがいつ、どこの家で起きても不思議ではありません。多くの高齢者の方々が、この不安を抱えて日々暮らしているのです。こういった方々や社会的弱者といわれる方々が、安心して快適に過ごせるために、各種事業を実施いたします。



情報公開に基づくガラス張りの市政と移動市長室の開催


 五つ目は、「情報公開に基づくガラス張りの市政と移動市長室の開催」です。
 七つの町が集まった雲仙市には大きな可能性があり、そのために、新市が持つ潜在力や市民の皆様の力をどのように引き出すかが、私に課せられた課題であると考えております。
 そのためには、法律上許される限りの情報を適正に公開し、行政情報を皆様と共有してまいります。また、移動市長室を開催することにより、市民の皆様の声を聞かせていただき、市民の皆様の意欲と能力をお借りしながら、市政を運営してまいります。


 以上、述べました市政を進めるにあたっての基本姿勢を基に、常に皆様とともに勇気と情熱をもって、新しく船出した雲仙市の発展に努めてまいります。

 私は、雲仙市に暮らす市民の皆様が、自分のまちを誇りに思い、全国のだれもが訪れたくなるような、魅力ある雲仙市づくりを進めてまいります。
 このため、特色ある歴史や文化、伝統を活かした魅力ある地域づくりや地場産業をからめた事業により、交流人口の拡大を図るとともに、下水道の整備やゴミの問題などの環境問題に取り組み、循環型社会形成と美しいまちづくりに努めます。
 また、市民の皆様が健康で安心して、子を産み、育てることができる地域づくりにも努めます。
 さらに、農林水産物の生産性の向上やブランド化を進め、販路の拡大を図ります。
 このほか、新市の財政基盤の確立のために行財政改革を行い、市の産業振興に欠かすことのできない道路網の整備に努めます。

このような考えに基づき、本年度からの主な取り組みをご説明いたします。



〔行財政改革の推進策〕


 まず、「行財政改革の推進」に取り組みます。
 地方への国の関与をできる限り廃止・縮減し、地方の権限と責任を大幅に拡大するという観点から、「(1)国庫補助負担金の改革 (2)国から地方への税源移譲 (3)地方交付税の改革」を一体的に行うとされた三位一体の改革も、本年11月30日一応の合意をみましたが、完全なる権限と税源の移譲ではなく、補助率を削減しただけにとどめ、国の権限は残したまま、地方に負担をまわすという、地方にとっては満足のいくものではありませんでした。
 そのうえ、地方交付税は一段と削減するという動きがあるなか、自主財源が乏しく、収入の多くを地方交付税、国・県の補助金に頼っている地方にとっては、さらなる行財政改革が必要となります。 
 そのため、雲仙市においても、まず、第一に行政の効率化を図ります。現在の事務事業の二割削減を目標に、職員による「事務改善検討委員会(仮称)」と、市民による「行財政検討委員会(仮称)」を立ち上げ、すべての事業を、市で行う事業、民間で行う仕事、不要不急の事業、他の行政機関の事業に仕分けを行い、歳出の見直しを行います。そこで生じた財源を他の必要な事業の財源に充当いたします。
 また、退職者の補充を平成18年度から3分の1にとどめ、15年間で現在の職員数約500人から350人まで削減します。
 15年度決算ベースで旧7町の歳出合計は、類似都市と比較した場合、市民一人あたり約14万円の歳出超過となっています。そのため、「入るを量りて、出を制す」の言葉どおり、先ほど申しあげました事務事業の見直しを行い、浮いた財源を他の事業にまわしたり、合併で生じた遊休資産の整理活用をはじめとした税外収入の確保を図り、借金であるところの地方債の計画的な返済により、健全財政の確立に努めてまいります。



〔基幹産業の振興〕


 雲仙市の産業別就業人口の25%以上を占める農林水産業は、紛れもない雲仙市の基幹産業であります。ただ、他の地域と同じく、ここ数年、就業人口が減少してきております。人口定着、ひいては人口増を図るためにも、力強い農林水産業を育てるためにも、政策が必要です。各事業者が行いたい事業を自ら考え、実行するための交付金を創設し、従業員のアイデアによる増収対策を支援し、農林水産業の魅力アップに努めます。
 また、肥沃な土地と豊かな海と純朴な人情がある雲仙市において、その素材を活かしたグリーンツーリズム、ブルーツーリズムなどの体験型観光商品の開発や、韓国や中国といった近隣の外国にない山と海が接近した地形を利用した海外観光客の誘客商品の開発を行い、観光客の増加を図ります。
 さらに、先に成立いたしました景観法をもとに、例えば、豊後高田市の昭和の店づくりのような個性的で魅力ある景観の形成や、各個店の魅力アップを支援し、遠くからでも訪れてみたいと思わせるような特色ある商店街づくりを応援いたします。
 工業製品に付加価値を付けたり、新商品の開発に資する特許製品を創作するなどに支援し、商工業の振興を図ってまいります。



〔少子高齢化・環境問題・保健福祉の対策〕


 一家総出で行っていた農業や漁業の経営形態も変わり、家内工業的な産業が少なくなり、昔ほど、子どもがその家の労働力として期待されていない現代社会の産業構造、女性の意識変革に伴い、女性の社会進出が進み結婚しなくなったこと、たとえ結婚しても家庭に入ることなく仕事をし続けること、子どもは生んでも少なく生んで、その分、一人に金をかけて育てること、現代社会では子どもを生み育てることに対する考え方が多様化しております。
 しかし、子どもを生み育てるための政策は、大げさでなく、国家存亡の危機を回避するための最大の重要事案でありますので、短期、長期にわたっての、きめ細かく柔軟な対応が求められ、市民の皆様を巻き込み、知恵と工夫を出し合って取り組む姿勢が必要であります。
 そこで、高齢者の方々の生きがい対策にもなるように、職業生活の両立を図ることができる社会づくりのために、現在、まさに育児中の世代の方で、子どもの病気や、本人の急な残業、出張などの際に育児援助を受けたい人と、既に育児を経験し卒業した人で育児を行ってよいという人を会員登録し、マッチングさせ、いくばくかの報酬を払うことにより、育児支援を行うファミリーサポート体制を考えております。
 また、ごみの減量やリサイクルに取り組み、市民、事業所、行政が一体となって、再資源化率、いわゆるリサイクル率の向上を目指すとともに、水質や土壌の浄化を行うために、下水処理施設、家畜排泄物処理施設などの施設整備を推進します。
 住民福祉は、自助と共助と公助で行うものと考えております。一例といたしまして、まずは自助として、健康な体づくりのために、地元医師会とも協力し、健康診断の受診率の向上を図ります。
 次に共助として、いわゆる自治会やPTA、婦人会などの各自治会の連合組織としての住民福祉連合会を立ち上げ、一人暮らしや身体の不自由な人など社会的弱者と言われる方々の住宅の場所と近くの消火栓などを記載した福祉防災地図づくりを行い、副次的な効果として、コミュニティーの形成と安心感の醸成を図ります。
 公助として、子どもから高齢者まで、地域住民のだれもが、いつでも、気軽に参加できる多種目多世代型の複合型の地域スポーツクラブの設置を図ります。寝たきりをつくらない健康体操の普及など複数のスポーツに親しむことができるよう努めます。

 先ほども申し述べましたが、私の「マニフェスト」は、「雲仙市建設計画」に基づいて作成したものです。雲仙市の将来像「豊かな大地・輝く海と ふれあう人々で築く たくましい郷土」の実現に向けて、マニフェストを含めたかたちで、「雲仙市建設計画」に基づいて「雲仙市基本構想」「雲仙市基本計画」を策定いたします。基本構想、基本計画の作成は、新年度になりましたらすぐに着手いたします。


 以上、市政に対する所信を述べさせていただきました。
 皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申しあげます。



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