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平成18年3月定例議会 施政方針

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本日、ここに平成18年3月定例市議会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、ご健勝にてご出席を賜り、厚くお礼を申しあげます。

私は、昨年11月20日の市長就任以来、まだわずかの期間ではありますが、市の発展と市民皆様の幸せを念じ、種々の課題に取り組んでいるところであります。
合併後調整するとされた案件も、徐々にではありますが整理されつつあり、平成17年度に各町で行っておりました投資的事業も、おかげをもちまして雲仙市において引き続き執行いたしております。

これも偏に、議員各位をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力の賜と心から感謝申しあげる次第であります。

それでは、平成18年度予算案を提出するにあたりまして、その基本となる施政方針について説明申しあげ、議会の十分なご審議を賜るとともに、広く市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

1 市政の創成期の枠組み

(1) 総合計画の策定と着実な推進
先人の英知と努力の積み重ねにより育てられてきたそれぞれの町を、雲仙市として統合し、そこに暮らす人々が活力と潤いのある生活をおくることができるまちへとさらに発展させていくために、「新市建設計画」では、新市の将来像として「豊かな大地・輝く海と ふれあう人々で築く たくましい郷土」を掲げております。

市民本位の自治を基本に、雲仙市が都市としての自立と持続可能を確かなものにするとともに、自助、共助、公助のバランスのとれた地域社会の中で、雲仙市民のだれもが生きがいと幸せを感じられるまちづくりを推進してまいります。

そして、新市の将来像を実現していくために、市民・地域・企業・行政の相互理解と信頼に基づく協働の取り組みと、広域的視点に立った近隣自治体などとの協調を進めてまいります。

また、日本最初の国立公園「雲仙」を有する雲仙市の特徴や長所を十分に発揮しながら、市民の自立的な活動が持続的・安定的に行われ、さらには、地域が主体となった課題解決や身近なまちづくりを進めることを通じて、地域の魅力や個性を引き出し、市民の皆様が愛着と誇りを共有できる国際的にも存在感のあるまちづくりを進めてまいります。

このほか社会環境の変化が早い現在、従来の考え方に固執することなく発想を転換し、取り入れるべき考えは柔軟に取り入れながら事業を実施してまいりますが、防災をはじめとした市民の暮らしの安全を守るための取り組みや、福祉や教育の向上など市民生活に直結する行政としての基本的な責務もしっかりと果してまいります。

なお、新市建設計画をベースとして、10ヵ年計画の基本構想および、5ヵ年計画の基本計画による「雲仙市総合計画」を平成18年度に策定し、これにより、雲仙市の今後の方向性を市民の皆様に分かりやすくお示ししたいと考えております。

 (2) 市民参加から協働の推進へ
地域には様々な機能をもつ組織があり、いろいろな力を持った人々が住んでおられます。これらの機能や各地域をうまく組み合わせることにより、大きな活力を生み出すことが可能になります。

かつて財政的にゆとりがあった時代、全国で自治体による地域再生や地域活性化のための巨額な投資が行われました。しかし、そのような投資が地域に持続的な活力を育てるものになったかというと、必ずしもそうなってない例がございます。住民の持つ様々なパワーを引き出し、さらに育てるという協働につながる手立てが用意されなかった事業の多くは、その後の経済低迷の中で力を失っていきました。

それに対し、いい形で協働が生まれた地域や事業は、今もその活動に光を失ってはおりません。そこには、地域内に行政と住民そして産業や大学などの様々な組織の協働のみならず、外部の力との協働が見て取れます。

私は、新局面を切り開くパワーとして欠かせない、斬新な知恵とアイディア、そして行動を、市民や企業、各種組織・団体などの皆様と共に生み出したいと思っております。

雲仙市におきましても、いくつもの市民活動などが行われておりますが、今後これらを系統立てて整理し、さらに、新鮮な発想とまちを愛するエネルギーで、新たな協働システムを確立し、実施していきたいと考えております。

(3) 行財政の効率化
平成16年度から始まった三位一体の改革は、昨年末、約4兆円の補助金を削減し、約3兆円の税源移譲を行うという到達点が見出されました。しかし、地方側からすると、不十分なところもあり、今後に多くの課題や問題点を残した結果となりました。私ども地方にとっては、第二期改革への歩を新たにしなければならないことは言うまでもありません。

そのため、地方ではこれまで以上に、その行政を自ら見直し、早急に、さらなる行財政改革が必要となります。

12月議会定例会の所信表明でも申しあげましたとおり、雲仙市におきましても、まず、第一に行政の効率化を図るため、市民の皆様などで構成する行財政検討委員会を18年度の早期に設置し、市で行うべき事業、民間で行うべき仕事、不要不急の事業などに仕分けを行うことにより、歳出の見直しを行い、そこで生じた財源を他の必要な事業の財源に充当いたします。

また、合併で生じた遊休資産の整理活用をはじめとした税外収入の確保を図り、地方債の計画的な返済を促進し、健全財政の確立に努めるとともに、「受益と負担」の原則をはっきりさせ、最小の費用で最大の効果を生み出す市政を目指してまいります。

さらには、情報公開の徹底による市民参加型の行財政運営を実現するため、情報公開条例、個人情報保護条例などの関係条例を施行いたしております。

パブリックコメントにつきましても、緊急にその制度を整えるように指示し、今後策定が必要となる様々な計画は、この手法を用いるよう準備させております。

また、「移動市長室」を、去る2月23日に開催いたしました。今後、月に一度程度の開催を考えておりますが、基本的に一巡目はテーマに沿って関連団体の方々と話し合うという形で行い、お一人お一人の声がきちんと聞ける規模で皆様の様々なご意見をお伺いし、市民参加型の行政運営を行ってまいります。

なお、合併後のあるべき組織の姿の確立について、現在鋭意取り組んでおりますが、本庁・総合支所方式の問題と、それに伴う組織機構の問題、情報化推進の問題などの課題がございますので、早期に問題を解決し、市民サービスの徹底を図ってまいりたいと考えております。

2 18年度予算編成の基本的考え方
続きまして、平成18年度当初予算の規模および編成にあたっての基本的な考え方について、ご説明申しあげます。

まず、一般会計予算総額は、239億4455万円であり、平成17年度の旧町予算総額と比較して6.6パーセントの伸びを示しておりますが、合併関連予算19億5345万6千円を除きますと、1.1パーセントの減となります。

歳入につきましては、市民税は、税制改正による定率減税の半減などにより増となっておりますが、固定資産税が、評価替に伴い減となっており、市税全体では0.4パーセント減と微減の傾向にあります。

地方交付税については、90億5018万円と昨年度に比べて2.6パーセント増を見込んでおりますが、合併補正等分を見込んでの数字であり、合併補正等分を除くと全国平均と同じく5.9パーセント減となり、たいへん厳しい状況となっております。

ただ、旧町の継続事業で市民のために行うべき事業は、できる限り実施することとし、財政調整基金3億円、減債基金12億円を取り崩して歳入の不足分を補っております。

しかし、このようなやり繰りを行った結果、財政調整基金、減債基金の残額は、ここ数年平均の一般会計歳入予算の基金繰入金のわずか2年から3年分ほどしかありません。したがいまして、18年度中には市の中・長期財政計画の策定を行い、計画的な財政運営を行ってまいります。

なお、歳出につきましては、後ほど主要事業の概要の中で、述べさせていただくことといたします。

次に各特別会計でございますが、国民健康保険特別会計につきましては、61億28万7千円、5.3パーセントの減となっております。
老人保健特別会計につきましては、67億6411万3千円、3.5パーセントの減となっております。
簡易水道事業特別会計につきましては、6億5595万3千円、37.6パーセントの減となっております。
下水道事業特別会計につきましては、26億604万7千円、2.9パーセントの増となっております。
と畜場特別会計につきましては、1億8967万1千円、2.6パーセントの増となっております。
国民宿舎事業特別会計につきましては、1億9390万7千円、12.7パーセントの減となっております。
温泉浴場事業特別会計につきましては、1114万2千円、1.0パーセントの減となっております。

雲仙市は、こうした極めて厳しい財政状況下にありますが、新市として、時代に即応した施策、迅速な事業の展開などが強く求められており、現状の行政サービスを維持することさえ、なかなか困難な中、権限委譲などによる新たな業務への対応、合併に伴う事務・事業の統合及び電子自治体化など多くの事務が発生してきております。

そのため、柔軟に対応可能な歳出構造実現に向けて、各事業や補助金などに対し、個々の重要性、緊急性などを整理するとともに、廃止を含めた整理統合および事務の簡素化などを図ってまいたいと考えております。

3 18年度予算の主要事業
それでは18年度予算の主要事業につきまして、「新市建設計画」の柱立てに従い、その概要を述べさせていただきます。

 (1) みんなでつくるまちづくり
これからのまちづくりは、市民が主役となり、市民と市民が交流し、行政への市民の積極的な参加と連携を深めながら進めていくことが必要であり、かつ、人権を尊重し、男女がともに社会に参画できる環境づくりが必要であります。

そのため、市民のボランティア活動が行いやすい環境の整備や、雲仙市内に6法人あるNPOをはじめとする各種市民活動団体・ボランティア団体などの育成・支援に取り組むとともに、行政とボランティア団体などが連携してまちづくりを推進していくための仕組みづくりや、市民参加の仕組みづくりに積極的に取り組んでまいります。

また、自治会や婦人会、青年団などのコミュニティ組織の活動支援費として、報酬や自治会活動保険など7551万7千円を計上しております。

さらには、旧町の枠を越え、世代を越えた交流を促進し、市民が地域の主役となるまちづくりを実現するため、市民が交流を深める機会の創出や市民と行政が協働して問題を解決するシステムづくりなどに取り組み、市民がともに支えあって安心して暮らすことができるように、今後とも地域コミュニティを守り育てる費用として、振興基金事業2億309万8千円を計上したほか、市民と市民の交流を深め、新市の一体感を醸成するために、市民美術展、産業祭などの市民交流事業および、合併一周年記念として市民総参加による「市民運動会」を実施いたしたいと考えております。

一方、雲仙市といたしましては、市民自ら地域の将来をデザインし、行政に積極的に参画できる協働型のまちづくりに取り組み、各種計画策定過程において、市民の多様な意見を集約するワークショップなどを活用し、政策形成過程においては、市民の活発な意見を市政に反映させるためのパブリックコメント制度の導入など、広聴制度の充実を図ってまいります。

また、市民一人ひとりの人権が尊重され、男女が性別に関わりなく、あらゆる分野で共に活動し、その個性と能力が十分に発揮される社会の実現を目指し、18年度から基本計画の策定に着手するとともに、学校教育・社会教育などのあらゆる機会をとらえて、人権尊重の意識の啓発に努めることとし、研修会、講演会などの開催、市民相談の充実に努め、推進体制の整備を図ってまいります。

さらには、進展する地方分権および複雑・多様化する新たな行政ニーズに対応し、また、合併の効果を高める行財政運営の確立に取り組み、市民に身近で開かれた行政を目指し、市民と一体となった新市づくりを推進してまいります。

そのほか、多様化、高度化する行政ニーズに対応するため、事務改善やOA化の推進に努め、職員研修の充実・強化により能力開発を推進し、より質の高い行政サービスの提供に努めるとともに、電子自治体の実現を目指し、情報技術を活用した行政のネットワーク化、窓口業務などのオンライン化を行い、市民の利便性向上を目指します。

また、市民の知る権利の尊重と、市が保有する個人情報の保護の両立を図り、公正で開かれた市政を推進してまいります。

(2) 快適で住みよい暮らしづくり
新市では、市民一人ひとりが豊かさを実感し、安心・安全・快適な市民生活を送ることのできる環境づくりを行い、地域の産業、観光、生活に密接に関わる自然環境を大切に守り、次代に継承してまいります。

そのため、まずは住環境を充実させるための公営住宅の整備などに取り組むほか、安全でおいしい水を供給するために、水源開発事業とともに水道施設整備を推進する費用として、各地区の簡易水道事業の改修・補修事業に2億775万9千円を計上いたしております。また、生活環境の保全と公衆衛生の向上および豊かな自然環境を守るために、千々石地区、吾妻地区、瑞穂地区、国見地区の下水道整備事業に26億364万2千円を計上し、地域の特性に合った下水処理施設の整備計画を策定しながら、事業の推進に努めてまいります。

次に、災害から市民の生命と財産を守るため、消防・救急体制、防災対策の強化・充実を図り、自然災害防止のため防災施設などの整備に努めるとともに、災害発生時における迅速な対応を図り、各種防災体制の確立に努める費用として、非常備消防経費1億3257万9千円、常備消防負担金6億5905万1千円を計上いたしております。

また、犯罪のない明るいまちづくりを推進するため、地域ぐるみの防犯関連活動を強化し、防犯意識の高揚に努めるとともに、夜間における安全を確保するため、住宅地の防犯灯などの防犯施設の維持を推進する防犯関係事業費として1708万1千円を計上いたしております。

さらに、市民生活の場における交通安全を確保するため、啓発指導、交通安全活動を展開し、市民の意識高揚を図るとともに、関係機関などと連携しながら、交通安全施設の整備、充実に努める費用として、カーブミラー、ガードレールなどの交通安全施設整備事業費540万円を計上いたしております。

このほか、かけがえのない豊かな自然環境の再発見や併存に努め、次世代に残すために、松くい虫防除事業などに1371万2千円を計上し、緑を保全し、生態系の保護、景観、親水性にも配慮した事業や活動を展開してまいります。また、地球環境問題やリサイクルを基本とした循環型社会の形成のために、市内の河川42ヵ所の水質検査と環境監視員設置に465万6千円を計上いたしております。

 (3) 笑顔いっぱいの健康と福祉づくり
市民一人ひとりが日々、心身共に健康で安心して生活を営み、だれもが健やかな人生を送ることができるよう、地域保健・医療体制の充実費用として小浜地区保健環境組合負担金など1億3444万4千円を計上するとともに、健康診査事業9137万7千円、結核対策事業1345万1千円、国保ヘルスアップ事業840万5千円を計上、また、自らの健康は自らでつくるという市民の意識づくりと支援のための環境づくりに、保健センター維持費など1446万1千円を計上いたしております。

次に、高齢者の方々が、できる限り要介護状態に陥ることなく、健康な生活をおくることができるように、健康学習の普及に努め、相談体制の充実を図り、併せて、老人ホーム入所措置費として3億607万8千円を計上いたしております。また、介護保健施設からの退所者や独り暮らしに不安を感じている高齢者などに対して、各種制度を利用しながら支援してまいります。

さらに、新市に設置した福祉事務所において、地域福祉の向上に取り組んでおりますが、障害者、高齢者などをはじめとする全ての市民が、地域社会の中で共に支えあい、共に暮らしていくことができる平等な社会づくりを推進するために、福祉医療扶助費1億2700万円、高齢者交通費助成1800万円、身体障害者施設訓練等支援費1億3440万円、知的障害者施設訓練等支援費3億4680万円を計上いたしております。

 (4) 力強い産業と仕事づくり
足腰の強い農林業の振興につきましては、ほ場整備、基幹農道、一般農道、農業用水など農業生産基盤整備を推進する費用として19億4564万4千円を計上するとともに、諫早湾干拓地において、生産性・収益性が高く、環境保全型の先進的な農業経営が定着するように、国、県と連携しながら諸施策に取り組んでまいります。また、森林保全事業として、下刈りや間伐45ヘクタール分1478万6千円を計上し、森林整備を進めてまいります。 

このほか、魅力ある田園空間づくりを推進するため、棚田などの保全に努めるとともに集落道整備などの費用として、里地棚田保全事業4618万円を計上いたしております。

次に、認定農業者の確保・育成強化のため、営農情報交換などにより資質の向上・経営基盤強化を図るほか、農業後継者育成のため、先進地視察の実施や各種研修会を開催し、新規就農者の支援体制の確立に努める費用として、認定農業者連絡協議会や青年農業者育成対策費などに811万円を計上しております。また、農地の流動化を促進し、担い手への集約化を図るとともに農業機械の利用共同化を進め、農業に取り組みやすい環境づくりを進めてまいります。

さらに食の安全に対する意識が高まっている中、消費者に信頼される農畜産物を目指し、農業、園芸、畜産のそれぞれにおいて地域をアピールする特色ある産地づくりを図り、消費者に「安心、安全でおいしい」農産物を届けるための環境保全型農業を推進し、農畜産物の品質管理を徹底させるとともに、畜産環境の整備を計画し、耕畜連携による資源循環型農業の実現を図ってまいります。

そのほか、ながさき「食と農」支援事業に5670万7千円、園芸ビジョン21推進対策事業に3064万5千円、農業・食品産業強化対策整備交付金に1億180万2千円、農業パワーアップ対策事業に2957万7千円、中山間地域等直接支払交付金に6100万2千円、県バイオマスの環づくり交付金事業に1億441万7千円を計上し、農業の振興に資するとともに、新規事業として、農業者などの創意と工夫によりこれからの地域農業を牽引するビジネスの創出を推進するために、雲仙市提案型農業パワーアップ対策事業5000万円を計上いたしております。

また、雲仙市において、農畜産物が安定的に生産されるためには、ブランドが確立され、市場から継続的に需要が求められなければなりません。このためには、新市の農産物の品質などを積極的にアピールし、多くの人々にその特性を認識してもらう必要があります。

そのため、雲仙市では独自のブランド確立を目指し、島原半島の他市とも連携して、島原半島統一ブランドの確立にも努めるとともに、流通戦略を展開しながら、観光産業との連携、加工による高付加価値化、料理の食材としての流通などにも積極的に取り組み、加工、流通、情報、交流から販売までの幅広い分野におけるアグリビジネスの創出につなげてまいります。

次に、自立した水産業の振興につきましては、消費者に信頼される水産物を目指し、水産物の安定的な水揚げと、漁業者が安全に事業活動のできる基盤づくりを推進するため、漁業資源の安定確保を目指して、漁場、増養殖場の整備を促進するとともに、漁場環境の積極的な保全を図ります。具体的にはアサリ稚貝放流事業3091万4千円、タイラギ生育観察事業補助金124万2千円を計上したほか、カキ養殖イカダや橘湾の赤貝放流にも助成を行います。

また、水産資源の維持増大のため栽培漁業や資源管理型漁業の定着を図るとともに、養殖業の推進に取り組むほか、高齢化する漁業従事者、後継者不足に対して、経営基盤の安定対策、装備の近代化支援に取り組み、技術向上のための研修会などを実施いたします。

さらには、島原半島内の他市とも連携し、水産物の島原半島統一ブランドの確立に努めるほか、かまぼこなどの水産加工品の振興、流通・販売戦略にも積極的に取り組み、観光産業との連携を強めた地産地消を推進し、水産業の振興に努めてまいります。

続いて、魅力ある商工業の振興につきましては、4月に発足が予定されております新商工会と緊密な連携を図りながら、商工業活性化のための支援を行う費用として商工業振興費補助2570万円を計上しております。

また、商店街のにぎわいの創出と集客力を高めるためのイベント開催、街路灯の維持、空き店舗などを活用したコミュニティスペース設置事業や商店街活性化支援事業などに取り組むとともに、商工会が中小企業者の経営近代化を促進するために行う経営者講座の開催、経営診断などの実施を支援してまいります。

さらには、市内商工業者の経営安定化を図るため、中小企業振興融資制度を創設する費用として、商工業振興事業1000万円を計上いたしております。そのほか、地元の農林水産物を用いた食品加工産業などの育成に取り組み、食品関連産業などの企業誘致についても実現に向けた取り組みを進めてまいります。

(5) 新しい観光・交流による活力づくり
島原半島は、年間600万人を超える観光客が、四季を通じて訪れる長崎県を代表する観光地であります。その中でも雲仙市は、雲仙温泉・小浜温泉を擁する基幹的な地位を有しており、今後はこれらの魅力をさらに高めることで集客力を強め、島原半島全体にその波及効果を及ぼすことができる観光地づくりを目指してまいります。また、他地域と一体となった集客・誘客体制を確立し、市内の雲仙・小浜温泉以外の観光資源と連携した複合的・広域的な観光ルートの開発に取り組んでまいります。

そのため、雲仙市全域の観光振興を図る機関として、多様な産業の方々に参加していただく、雲仙市観光協議会を設立し、観光資源の掘り起こしや誘客対策事業に取り組む費用として1050万円を計上いたしております。また、雲仙ブランドづくり事業補助金、ルネッサンス雲仙補助金などを予算化、島原半島特別誘致対策事業など観光振興基金事業1589万9千円、全九州花火師競技大会など観光振興イベント補助金709万6千円を計上し、観光客の誘致に努めてまいります。

また、自然あふれる地域特性を活かした農業体験、漁業体験などの体験型観光を促進し、新しい地域の魅力を発信し、温泉と組み合わせることで、観光客の多様なニーズへの対応を目指してまいります。

さらには、観光客の交通の利便性向上を目指し、国、県と連携した地域高規格道路島原道路などの整備促進、島原・天草・長島架橋構想の実現に向けた推進運動、鉄道、バス、航路などの交通網の充実・強化、九州新幹線西九州ルート実現に向けた取り組みなどを県、関係自治体、関係機関とともに推進してまいります。

このほか、各種類のスポーツ交流を通じた青少年の健全育成とスポーツ愛好精神や技術向上のために「雲仙市ジュニアスポーツ大会」を5月の連休期間に開催いたします。また、市民の健康増進を図るとともに、既に取り組まれている旧町の様々なイベントを拡充し、他地域の人々との交流人口の拡大を推進する中から、新市としての地域特性を確立し、姉妹都市交流をはじめとする取り組みを発展させ、広域の文化交流、経済交流、技術交流を促進し、青少年の国際化教育、地域の活性化を推進してまいります。

なお、毎年1千人規模で行われております全国棚田(千枚田)サミットにつきましては、棚田保全意識の高揚はもちろんのこと、雲仙市の魅力を発信するよい機会ととらえ、平成20年度雲仙市開催誘致に向けて、現在鋭意努力を行っているところでありますので、議員各位や市民皆様のご支援、ご協力をお願い申しあげます。

 (6) 明日を担う人づくりと誇りあるふるさとづくり
進行する少子化への対応としては、子どもを生み育てていくことを難しくしている要因をいかに取り除くかが重要であり、家庭や子育てに夢を持つことができる環境づくりを積極的に進め、地域の中で安心して子どもを生み育てられるよう、まずは、3人以上の児童を扶養する保護者の保育料を免除することにより、多子世帯の経済的負担を軽減し、児童の福祉の向上や出生率の向上に寄与することを目的とした「すこやか子育て支援事業」2695万5千円を新規で計上いたしております。

この「すこやか子育て支援事業」は、私がローカルマニフェストで申しあげておりました「提案型農業パワーアップ対策事業」を減額した予算を、人口減対策、少子化対策に充当した新規事業でございます。

そのほか、保育所運営費16億2355万5千円、延長保育促進事業1億671万1千円、母子保健事業や幼児検診など8072万4千円、地域子育て支援センター事業2340万円を計上し、多様な保育サービスの提供、母子保健事業の実施など、子育てに対する支援の充実に努めてまいります。

また、子どもたちの個性や地域の特性を生かした特色ある教育環境を推進するために、小学校4校、中学校2校を研究指定する小中学校研究指定事業を行い、健やかな心身の育成と学力の向上に努め、情報化などに対応した教育内容の充実を図ってまいります。

一方、教職員に対する各種研修を実施し、資質の向上を図るとともに、中学校の心の教育サポーター配置事業と、小学校に配置するスクールサポーター事業に1047万9千円を計上し、学校相談体制の充実を図ってまいります。

さらには、児童生徒が安全で快適な環境の中で学習できるように、老朽化した校舎、プール、屋内運動場などの学校施設の計画的な整備に努める費用として、学校施設の耐震診断優先度調査事業の小学校分と中学校分として1666万9千円、学校施設の耐震診断、学校施設の改修工事に1億9万4千円を計上したほか、学校図書室、情報機器などの施設設備を進め、食育を進めるにあたって重要な役割であります学校給食事業を充実させるため、2200食対応の南部学校給食センター建設事業に8億379万2千円を計上いたしております。また、登下校時の安全確保のために、小中学校通学路防犯事業を行うとともに、登下校時以外でも、安全な学校生活の確保に努めてまいります。

そのほか、国際化の進展に対応するため、5名の外国人英語指導助手を市内の小中学校に配置し、国際性豊かな子どもたちの育成を目指す費用として、2252万9千円を計上。活力ある地域社会づくりをめざして、家庭・地域の教育力を高め、青少年が健やかに育つ社会環境づくりを進めてまいります。 

次に、市民の学習意欲の高まりと多様化するニーズに応え、一人ひとりが心豊かで生きがいのある生活を創造できるように、生涯にわたって学習できる環境づくりを進めます。

そのため、市民の年齢や適性に応じた生涯スポーツを奨励し、スポーツ教室事業に207万2千円を計上し、スポーツ・レクリエーションを通じて健康な身体づくりを推進してまいります。

また、市民の豊かな人間形成や新たな地域文化の創造に向けて、芸術・文化に接する機会を提供し、創作活動や発表の場を拡充するとともに、地域文化活動への支援に努めます。

さらには、地域に残る歴史的遺産などの発掘・保存・保護・継承に取り組む埋蔵文化財発掘事業に1億1038万2千円を計上したほか、国の伝統的建造物群保存地区に選定された神代小路地区の景観保全のための街なみ環境整備事業などに6833万3千円を計上し、観光客の誘致にも努めるとともに、各地に残る伝統芸能などの保存、後世への継承事業や、先の食の世界遺産に認定された雲仙こぶ高菜、エタリの塩辛をはじめとした世界に誇れる地元食材による伝統的な食文化を継承し、発展させる取り組みを推進してまいります。




以上、平成18年度に実施する施策の基本的な考え方について申しあげさせていただきました。
今後とも、市民の皆様と率直な議論を積み重ねながら、雲仙市建設に力を注いでまいりますので、議員各位をはじめ市民の皆様方のご理解とご協力を心からお願い申しあげます。


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