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平成24年第1回定例議会 施政方針

最終更新日:
 本日、平成24年第1回市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位には、ご健勝にてご出席を賜り、厚くお礼を申し上げます。

 開会にあたり、市政運営についての所信の一端を申し述べますとともに、平成24年度当初予算案における主要施策の概要等についてご説明申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 さて、昨年は、3月11日に東日本大震災が発生し、筆舌に尽くし難い多大な被害をもたらしました結果、国民生活や経済に大きな影響を与えるとともに、防災対策やエネルギー政策など新たな課題が提起されました。

 また、わが国経済は、巨額の財政赤字による債務残高の増加に加え、世界的金融経済危機による歴史的な円高の進行や雇用情勢の低迷など、依然として厳しい状況が続いています。

 さらに、わが国経済への大きな影響が予想されるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)や、昨年末にようやく京都議定書の延長で国際的な合意が整った地球温暖化対策、中国の高度経済成長の減速など、グローバル時代を迎えて日本の進むべき方向性が今まで以上に問われる、数多くの課題が山積しております。

 1月の月例経済報告によれば、「景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にある中で、緩やかに持ち直している。」としておりますが、本市を取り巻く状況は、今後とも厳しい局面が続くことが予想されます。

 このような状況の中、確かな未来を見据え、真に豊かな社会を実現するためには、住民に最も身近な存在である基礎自治体が、その役割と責任をしっかりと果たすことが極めて重要であり、24年度は、私の2期目の任期後半に入る訳でありまして、市政運営にあたりましては、市民目線を忘れることなく、引き続き「市民が主役」「市民総参加」を旨として、市民の皆様からなお一層の評価をいただけるよう全力で取り組むとともに、市長としてのリーダーシップを各般にわたり発揮し、スピード感を持って積極的に頑張ってまいりたいと決意を新たにしているところでございます。

 引き続き、議員各位のご理解、ご支援を心からお願い申し上げる次第でございます。

 それでは、以上のような姿勢を基本としながら、新年度に取り組む主な事業等について、「雲仙市総合計画」の6つの基本方針に沿って、ご説明いたします。


1.みんなでつくるまちづくり

【庁舎整備について】

 雲仙市の事務所の位置、いわゆる市役所本庁舎の位置につきましては、昨年の第4回市議会定例会において、雲仙市の事務所の位置を定める条例の改正案を可決いただき、条例上も吾妻庁舎の位置に確定されたところでございます。

 市といたしましては、「吾妻庁舎並びに千々石庁舎を最大限有効活用するとともに、不足する面積等については、最小限の経費による施設整備を行う」という方針のもと、平成24年度には、本庁舎の整備計画の策定を進めてまいりますとともに、支所庁舎につきましても、併せて整備計画を策定してまいります。

【総合計画後期基本計画の策定について】
 市政運営の基本となります雲仙市総合計画につきましては、平成23年度までの前期基本計画が最終年度を迎えたことから、24年度から28年度までの5か年の後期基本計画をこのたび策定いたしました。

 計画策定にあたりましては、市民アンケートなどを基に、地域審議会や総合計画審議会による審議、パブリックコメント、各種団体からの意見などを通して、幅広く市民の皆様からご意見をいただき、後期基本計画に反映させたところでございます。

 策定にあたり、貴重なご意見を賜りました皆様に厚くお礼を申し上げる次第でございます。

 後期基本計画は、厳しい経済情勢や急速な人口減少などの社会情勢、本市を取り巻く環境の変化を考慮するとともに、本市の現状や新たな課題につきまして、前期基本計画を見直し策定を行っており、1月20日総合計画審議会より後期基本計画案の答申をいただき計画の決定をしております。

 後期基本計画は、前期基本計画同様、基本方針に沿って取り組む政策と、主要施策及び主要事業の概要をお示ししており、事業による成果につきましては、数値目標を設定し、毎年その進捗管理を行ってまいります。

【第2次雲仙市男女共同参画計画の策定について】
 雲仙市男女共同参画計画が平成24年度に計画最終年度を迎えることから、25年度から5か年間を計画期間とする「第2次雲仙市男女共同参画計画」を24年度中に策定することとしております。

 雲仙市男女共同参画懇話会からの提言や男女共同参画に関する市民意識調査、パブリック・コメントなどを基に、市民の皆様のご意見を反映した計画の策定に取り組んでまいります。

 男女共同参画社会の実現には、市の取組はもちろんのこと、広く市民の皆様や事業者の皆様のご理解・ご協力が必要であることから、今後も、男女共同参画講演会や出前講座を通じて啓発・学習活動に取り組むほか、市内女性団体間の連携の構築、男女共同参画庁内推進会議などにより情報の共有を図るとともに、「男女が互いを認め合い、尊重し、協力し合うまち 雲仙市」を目指してまいります。

【行政改革について】
 平成28年度から始まる、普通交付税の算定特例の段階的な縮減措置に対応しつつ、将来に向けて持続可能な行財政運営を行っていくには、全庁的に業務の効率化を図り、職員数350名体制を構築していく必要があると考えております。

 このため、現在、市で実施している全ての事務事業について、市民の視点に立って、電算システムの有効活用や事務手続きの簡素化、二重事務の解消等に向けた業務改善に取り組んでいるところでございます。

 今後、本庁と総合支所との連携強化、現有施設の有効活用、市民の皆様の相談への対応などの観点から、一層効率的な組織体制を構築する必要があると考えており、事務事業の詳細な分析を踏まえつつ、住民ニーズへの的確な対応や地域の課題に迅速に対応できるよう総合的な検討を行ってまいります。

【参加と協働のまちづくり及び自治会活動活性化交付金制度の創設について】
 雲仙市における参加と協働のまちづくりにつきましては、市民や事業者にご参加いただき、あらゆる分野で展開されており、今後も引き続き推進してまいりますが、平成24年度は特に、地域づくり補助金制度の地域活性化事業を拡大するとともに、市民団体向けのセミナーを充実してまいります。

 さらに、参加と協働のまちづくりの基本的な考え方や、協働推進の方向性を示した「雲仙市民協働指針」を策定いたします。

 また、安全で安心して暮らせる、住みよい地域社会の実現に向けて、地域コミュニティーの基礎である自治会活動をより活性化させることを目的に、24年度に「自治会活動活性化交付金制度」を創設いたします。

 この制度は、自治会が身近な地域課題を自主的に解決し、また、自らの判断と創意工夫により地域を維持発展させるために行う活動に対して、交付金を交付しようとするものです。

 市といたしましては、この自治会活動活性化交付金制度や地域づくり補助金制度等により、引き続き、自治会や各種団体等の活動の活性化を図るとともに、住民自治の振興及び市民協働と市民参画のまちづくりを積極的に推進してまいります。

【納税の利便性向上対策について】
 市税等の収納率向上を図るため、引き続き、口座振替による納付を推進するとともに、平成23年度は軽自動車税のコンビニエンスストアでの納付を開始いたしましたが、さらに、24年度から、固定資産税、市県民税及び国民健康保険税についても、コンビニ納付を拡大することにより、より一層、納付の利便性の向上を図ってまいります。

 なお、納税組合への納税奨励金の交付につきましては、口座振替制度の進展や収納形態の変遷等により、23年度で廃止することとし、新たに組合を組織されるときは、納税貯蓄組合法に基づく納税貯蓄組合制度を活用していただきたいと存じます。

2.快適で住みよい暮らしづくり

【交通体系の整備について】

 少子高齢化や過疎化の進行、長引く不況等により、路線バス、鉄道、フェリー、タクシー等地域公共交通を取り巻く環境は、依然として厳しい状況にあります。

 こうした中、市といたしましては、市民生活に必要不可欠な公共交通として維持・存続を図るため、運行事業者に対し赤字補てんを行っておりますが、事業者は、経費節減や効率化を図るため、サービスの水準を最低限のレベルに抑えざるを得ない状況にあり、そのため、利便性は低下し、それが利用者の減少を招き、更に経営の悪化を招くという負のサイクルに陥りつつあります。

 市といたしましては、国の地域公共交通確保維持改善事業として、23年度中の策定を予定している生活交通ネットワーク計画をもとに、地域のニーズを踏まえた、最適な交通手段の維持確保のため、既存の路線バスや乗合タクシー等の維持・存続に向けた取組みや、本市の交通結節点である愛野地域におけるバス利用者の利便性向上など、地域の実情にあった公共交通体系の構築を図ってまいります。

【安心・安全のまちづくりについて】
 私たちの暮らしは、複雑・多様化し、問題商法や契約トラブルに遭う危険性が潜み、身の回りにある商品やサービスなどによる事故が数多く発生しております。「雲仙市消費生活センター」は、そうした消費生活に関する市民の相談に迅速、適切な対応ができるよう設置しておりますが、もっと身近で利用しやすい相談機関として、市民の皆様に対する周知の強化を図ってまいります。

 また、収集した問題商法や事故などの情報について、注意を呼びかけるなど、市民が安心して消費生活を送れるよう、消費者への被害の未然防止、拡大防止に取り組んでまいります。

 防災対策につきましては、昨年、特に、東日本大震災をはじめとした地震や台風などの大規模な自然災害が続発し、大きな被害をもたらしていることなどから、本市といたしましても、いつ発生するかわからない地震や異常気象による突発的な自然災害などからの被害を最小限に抑えるため、防災関係機関との連携を図るとともに、東日本大震災を踏まえた国や県の新しい指針により地域防災計画の見直しを進め、防災力の強化に取り組んでまいります。

 交通安全対策につきましては、市民の皆様に、交通安全の意識をより一層高めて頂くため、交通安全教育や普及啓発活動を推進していますが、特に、近年、高齢者の交通事故が多発しており、多くの尊い命が失われていることから、高齢者自身の交通安全意識の高揚を図るために、関係機関とともに高齢者に対する交通安全教育を積極的に推進してまいります。

 急傾斜地崩壊対策事業につきましては、大雨の影響等により突発的に発生するがけ崩れから地域住民を守り、災害を未然に防止するために、擁壁工や法枠工などの崩壊対策工事を行っております。

 平成21年度から着手しておりました、南串山地域の田ノ平波戸地区が23年度で完成し、24年度からは、小浜地域の新町地区を実施してまいります。

 また、かねてより要望を行なっておりました、南串山町中ノ場3地区につきましては、24年度から県営事業として整備されることとなっております。

 また、河川改良事業につきましては、24年度に千々石の日ノ田川、小浜の小野河内川、富津川の3河川の整備事業を実施することとしております。

【循環型社会づくりの推進について】
 本市では、ごみをできるだけ出さない循環型社会の実現を目指し、リサイクル(再生利用)などの各種施策を推進しておりますが、平成22年度から進めております循環型社会形成推進事業により、23年度に実施した小浜町清掃センター解体工事に引き続き、24年度は瑞穂地区、南串山地区の焼却施設を解体し、リサイクル選別ヤード等を建設するとともに、ストックハウスによる資源リサイクルの推進と、生ごみ処理機器等購入費助成事業を引き続き実施し、ゴミの減量化に努めてまいります。

 また、地球温暖化による異常気象や原発事故に伴い、自然エネルギーへの期待が高まる中、本市における再生可能エネルギーの割合を向上させるため、平成22年度から実施している一般住宅等における太陽光発電システムの導入助成事業につきましては、予算を増額し24年度も継続して実施してまいります。

 さらに、地球温暖化、オゾン層や森林の破壊、野生生物等の絶滅危惧種が増加するなど、地球規模で環境問題が進行する中、雲仙市の今後の具体的な環境施策を展開していくため、24年度に「環境都市宣言」を行い、市民の皆様と一体となって、豊かな自然環境を守り、未来へとつなぐためのまちづくりに積極的に取り組んでまいります。

【海岸保全事業について】
 雲仙市におきましては、台風による高潮の越波等から市民の生命と財産を守るため、海岸の整備を行っており、平成21年度から継続して、小浜町の木指海岸を国庫補助事業である高潮対策事業により整備しております。

 この事業は、延長1,128メートル、総事業費8億3,200万円の全体計画のうち、これまで事業費ベースで達成率約37%となっておりますが、今後も早期完成をめざして努力してまいります。

 また、他の危険が予想される海岸につきましても、海岸保全施設整備事業の事業化に向け、計画的に工法等の調査・検討を行ってまいります。

【都市計画マスタープラン策定後の取組みについて】
 一昨年の8月に策定いたしました雲仙市都市計画マスタープランにつきましては、「まちづくりの実現化方策」に沿って取り組んでおりますが、平成24年度は、土地利用及び市街地整備の分野におきまして、23年度に実施しました都市計画の基礎資料となる都市計画基礎調査結果を基に、用途地域や特定用途制限地域など具体的な土地利用誘導方策の検討を予定しております。

 また、公園・緑地等の分野におきましては、24年度から3年間かけて緑の基本計画の策定を予定しており、24年度は、自然的条件、社会的条件、緑地・緑化現況等を調査し、緑に関する課題の抽出を行います。緑地の整備、保全、推進に関する施策を定めるとともに重点地区の設定を行うことにより、市全体の公園・緑地の有り方を総合的に計画し、快適で住みよい暮らしづくりを目指してまいります。なお、計画の策定にあたっては、市民アンケートの実施とともに学識・有識者等による委員会を開催するなど、市民の皆様のご意見等を反映してまいります。

【交通網の整備について】
 市民の皆様の生活や産業の振興などを支える重要な施策である道路網の整備につきましては、公共施設等に接続する幹線道路と日常生活で利用する生活道路の利便性、安全性の向上のために、平成24年度におきましては、合計55路線の道路改良、維持、舗装を行うこととしております。

 また、現在、国及び県により、市内及び県央地域を結ぶ幹線道路として、国道、県道の整備が行われております。

 地域高規格道路「島原道路」の愛野森山バイパスにつきましては、すべての地権者の承諾を得ることができ、現在早期供用開始に向け工事が進められておりますが、吾妻・愛野区間につきましても、昨年4月に事業認可を受け、現在調査設計中でございます。

 そのほか、一般国道389号多比良バイパスにつきましても、23年度に着手されており、また、主要地方道小浜金浜線の金浜バイパスが24年度に、一般県道雲仙千々石線が26年度に、それぞれ完成の見込みでございます。

 今後とも、国及び県と連携し、市民の皆様が安全で安心な道づくりを推進してまいります。

【市営住宅長寿命化計画について】
 市営住宅につきましては、建築から維持管理、解体廃棄まで建物の全生涯に要する総コスト、いわゆるライフサイクルコストの縮減に配慮しつつ、耐久性の向上や施設機能の整備改善等を計画的に実施するため、市営住宅の修繕計画や供給方法などの検討を行ない、これまでの対症療法型の管理から予防保全型の維持管理への転換を図ることを目的に、平成24年度に「市営住宅長寿命化計画」を策定いたします。

 計画策定後は、市営住宅の長寿命化によるコスト縮減を図るとともに、効果的な市営住宅管理に努め、住環境の整備を進めてまいりたいと考えております。

【水道施設整備の推進について】
 市民の皆様に、安全・安心で低廉な水道水を安定的に供給するために、平成22年度より「水道ビジョン」及び「水道事業基本計画」に沿った事業を進めており、水道料金につきましては、経過措置が終了し、24年度より統一料金となります。

 また、基本計画の中の整備計画に基づき、新たな水源を確保するため、22年度から国庫補助事業を活用して「愛野地区簡易水道統合整備事業」を実施しているところでございますが、24年度から新たに千々石地区及び南串山地区でも国庫補助事業を活用し、5か年計画で統合整備事業を実施してまいります。

 なお、老朽化施設の更新事業といたしまして、国見地区の簡易水道及び上水道を引き続き実施するとともに、小浜地区や瑞穂地区の配水管布設替工事等を実施いたします。

【下水処理施設整備の推進について】
 生活環境の改善と公共用水域の水質保全を目的に進めております、下水処理施設の整備につきましては、平成24年度も引き続き、吾妻地区及び瑞穂地区の特定環境保全公共下水道事業を推進してまいります。

 吾妻地区におきましては、24年度までに下水道管渠工事をほぼ完了し、25年度は舗装工事を一部行い、その後処理場の増設を予定しているところでございます。また、瑞穂地区におきましては、26年度までに下水道管渠工事を完了し、その後吾妻地区と同様に、処理場の増設を予定しております。

 下水道未整備地区の国見、小浜、南串山地区につきましては、雲仙市の今後の財政状況等を考慮し、公共下水道事業は当面行なわず、個人設置型浄化槽を推進することとし、そのことに伴い個人設置型浄化槽の維持管理に対して助成金を交付することといたしました。

 また、浄化槽市町村整備事業につきましては、吾妻・瑞穂地区の中山間部において、26年度まで計画に基づき、整備を進めてまいります。

3.笑顔いっぱいの健康と福祉づくり

【国民健康保険事業について】

 国民健康保険事業につきましては、医療費の増加や保険税収入の低下などにより厳しい財政状況が続いておりますが、地域医療の確保及び市民の健康増進に重要な役割を果たしていることから、引き続き国保会計の健全化のため医療費の適正化を図るとともに、保険税の収納率向上と国、県交付金等の確保に努めてまいります。

 特に、平成20年度から生活習慣病予防を目的に実施しております特定健診等につきましては、24年度が国の定めた目標であります健診受診率65%を達成しなければならない最終年度となっています。

 仮に、これを達成できない場合は、ペナルティとして、雲仙市国保の国への納付金が最大10%加算されることになりますので、これにより国保加入者が納付する国保税にも影響が出てまいります。

 このようなことと併せ、特定健診等の受診率を向上させることは、医療費の抑制にもつながることから、雲仙市国保としましては、特定健診等の受診率の向上を最重要課題と位置づけて強力に推進してまいります。

【平成24年度 雲仙市健康チャレンジ事業について】
 雲仙市におきましては、各種保健事業や若年者健診、特定健診、また、各種がん検診や歯周病予防健診を実施しておりますが、特に働き盛り世代の国保被保険者の健診受診者が少ない傾向にあります。

 そのため、市民の皆様の主体的な健康づくりと市全体の健康機運を高めることや医療費の抑制を目的に、平成24年度新たな取り組みとして、「健康チャレンジ事業」を実施いたします。

 本事業は、20歳以上の市民の皆様を対象に行う事業で、健診の受診を必須項目として、毎日の健康づくりやがん検診の受診、健康事業への参加など、健康目標を3つ以上達成した市民の皆様に、抽選により商品券などが当たるもので、楽しみながら健診を受けていただきたいと考えております。

【地域福祉計画について】
 近年、住民相互の社会的なつながりが希薄化し、相互扶助機能は弱体化するなど、福祉を取り巻く環境が変化する中、福祉ニーズは複雑多様化してきています。

 このような中、公的なサービスなどでは解決できない細かな地域での課題などを、隣近所での見守りや声かけ、手助け、緊急時の支援など「困ったときはお互いさま」の気持ちで支え合う、地域住民の自主的な活動により住みなれた地域で安心して暮らしていけるよう地域福祉の推進が求められております。

 本市におきましては、23年度、市民の皆様のご意見を反映した「雲仙市地域福祉計画」を策定し、市民の皆様への周知のため計画概要版の全世帯への配布、市内7地域での説明会などを実施してきたところでございます。

 今後、自治会などの地域のつながりによる地域で支えあう仕組みを構築しつつ、それぞれの地域、町、更には、市全域でつながる地域福祉を推進するため、24年度は「地域福祉元年」と位置づけ、自治会や地域における各種団体を構成員とする各地域の推進組織「地域福祉連合会」をそれぞれ7地域に設置するとともに、市全体の推進組織「福祉ネットワークうんぜん」を設置いたします。

 また、地域住民の皆様が、主体的かつ容易に地域での支え合い活動に参加し、取り組みが進められるよう「地域ふれ愛ささえ愛モデル推進事業」を新設し、具体的な取り組みも推進してまいります。

 市民の皆様のご協力とご参加をお願いいたします。

【安心できる高齢社会の実現について】
 高齢者が、住み慣れた地域で自立し、安心していきいきと暮らせるよう、平成24年度におきましても、引き続き一人暮らしや高齢者のみの世帯で援助が必要な方の不安解消や安全確保、安否確認を目的として「緊急通報体制整備事業」、配食サービスを行う「食の自立支援事業」、ごみ収集の「高齢者等戸別収集支援事業」に取り組んでまいりますとともに、隣近所や地域での見守りや声かけなど地域福祉を進める一方、個人情報や医療情報等を記入したものをカプセルに入れて冷蔵庫に保管していただき、災害時や緊急時などに迅速かつ適切な対応や支援ができるよう、いのちのカプセル配付事業に引き続き取り組んでまいります。

 さらに、23年度から取り組んでいる「高齢者等見守りネットワーク構築事業」では、自治会の皆様をはじめ、民生委員・児童委員の皆様、また、関係機関や市内民間事業者の協力を得て、高齢者等を日頃から地域で見守り、支援を行う体制づくりに取り組んでまいります。

 また、介護予防事業では、地域の公民館等で開催する介護予防教室をとおして、高齢者の介護予防の普及・啓発と健康づくりを支援しておりますが、高齢者の様々な相談につきましては、雲仙市地域包括支援センターの総合相談事業と連携を図りながら、市の「高齢者・障がい者相談窓口」におきまして引き続き対応し、各種サービス等の調整を実施してまいります。

 高齢者の生きがい対策といたしましては、23年3月に設立された「雲仙市シルバー人材センター」の活動や老人クラブの活動を支援し、高齢者の社会参加と就労支援を行うとともに、「高齢者交通費助成事業」等の高齢者福祉事業にも引き続き取り組んでまいります。

【障がい者福祉の推進について】
 住み慣れた地域で自立した日常生活や社会生活を送ることができるよう、障がいのある人への支援につきましては、生活介護や就労支援など多様な障害福祉サービスに対する給付等の支援をはじめ、相談事業や移動支援事業等を実施し、平成23年度より福祉事務所に配置しております手話通訳者による来庁者への手話通訳等に引き続き取り組むとともに、聴覚や視覚に障がいのある人等への家庭訪問を行うことにより、必要な情報提供や社会参加促進に努めてまいります。

 さらに、市内の福祉関係者や当事者へ、直接ご意見等を伺い、それらを反映した「第2期障害者計画」を23年度中に策定し、障がいのある人もない人も自分らしく生き生きと輝いて暮らせるまちづくりを目指してまいります。

4.力強い産業と仕事づくり

【雲仙ブランドの確立について】

 19団体、31品目が認定されております「雲仙ブランド」及び21団体21品目が認定されております「うんぜん逸品」につきましては、認定品目の知名度向上と販売促進を実現するため、平成24年度は、高付加価値産品の創出に取組むほか、アンテナショップ等を活用し、大都市圏の消費者へのPRや販路拡大への取組を推進してまいります。特に、従来からのイベント中心による宣伝方法から実績重視の商談会や物産展への展開を図ってまいりますとともに、インターネットによる通信販売やカタログ販売などによる販路拡大については、雲仙市商工会を中心にJAや漁協との連携を強化し、共同して取組んでまいります。

 また、観光産業との連携につきましては、加工・流通・情報・交流等の幅広い分野における物産販売ビジネスの創出に努め、今まで以上の相乗効果が発揮できるように積極的に推進してまいります。 

【農林水産業の振興について】
 農林水産業の振興につきましては、市の単独事業として実施してまいりました「雲仙市食のくにづくり支援事業」を、平成24年度より「キラリと光る雲仙産地支援事業」として再構築を行い、「新規就農者などの担い手育成」や「農業経営コストの削減」、「農地利活用推進」及び「産地力アップ推進」の4つを柱として、時代の潮流に対応した支援を推進してまいります。

 次に、農作業労力支援につきましては、21年度から「長崎県農援隊支援事業」と「雲仙市営農環境システム整備事業」を島原雲仙農業協同組合に委託して実施しておりますが、「ふるさと雇用再生特別基金」事業の終了に伴い、24年度は、農家の急激な負担増とならないよう、市の支援を行ってまいりたいと存じます。

 また、今後につきましては、安定的継続が可能な制度の確立に向けて研究してまいります。

 次に、耕作放棄地の増加などに伴い、農作物等へ甚大な被害を及ぼしている、イノシシの対策につきましては、補助事業を活用しての防護柵設置や、猟友会との委託契約による捕獲対策とともに、防護柵の正しい設置や集落ぐるみでの取り組みを中心とした効果的な対策とするため、イノシシ対策A級インストラクターに認定された職員により、なお一層の強化を図ることとしております。

 次に、畜産振興につきましては、引き続き「雲仙牛」のブランド化を推進するとともに、地域一貫生産体制の確立を進めるなど、畜産経営の安定を図ってまいります。

 また、今年10月25日から29日までの5日間、佐世保市のハウステンボスをメイン会場、島原復興アリーナを島原会場といたしまして、「第10回全国和牛能力共進会」が開催されますが、全国から約37万人の来場者が予想されていることから、畜産業のみならず地域産業の活性化につながるものと期待しているところでございます。この大会の成績が、出品地域の和牛ブランド確立を左右するため、全国の和牛関係者にとって最も重要な大会とされていますが、今年5月には県南代表牛選考会を、7月には県代表を決定する選考会が開催される予定となっており、更に気運が高まってきているところでございます。雲仙市といたしましても、関係機関と連携しながら本大会の成功に向け、取り組みを進めてまいります。

 次に、雲仙市食肉センターに関しましては、雲仙市のみならず島原半島の畜産振興と地域経済の活性化を目指すため、既存施設の「大規模改修」に関する「基本構想」・「基本計画」を策定するとともに、半島3市の連携を強化しつつ、「合併特例債の活用」・「県への補助金要望」・「事業実施主体の確立」を図りながら、改修の実現に向けて最大限の努力を図ってまいります。

 次に、水産業の振興につきましては、水産資源の安定確保のための稚魚や稚貝の放流事業、漁場・増殖場の整備を行うとともに、担い手の育成・確保のための21世紀の漁業担い手確保推進事業を継続し、水産業の活性化を図ってまいります。

【農業基盤整備の推進について】
 雲仙市におきましては、魅力ある農業の確立を目指し、効率的な営農による生産コストの削減や、意欲のある担い手農家への農地集積による経営規模拡大等を促進させるために、土地基盤の整備促進を図っており、平成23年度に国見の八斗木地区が採択を受け、吾妻の山田原第2地区につきましては面積53.5ヘクタール、受益戸数223戸の事業計画として、平成24年4月採択に向けて、国及び県と調整を行なっているところでございます。

 「食の安心安全」が求められている中、山田原第2地区におきましては、有機農業が盛んに展開されている地域でもあることから、このような地域の特性を十分に踏まえた実施計画を樹立いたします。

 市内の土地基盤整備につきましては、今後も引き続き促進を行い、「足腰の強い農林業の確立」の実現を目指してまいります。

【商工業の振興について】
 本市経済を取り巻く環境は、依然として厳しい状況が続いていることから、緊急経済対策の一環として、平成23年度に「住宅・店舗リフォーム緊急支援事業」を実施いたしましたが、申請受付開始から約3カ月で予定額に達し、工事費用は補助金額の約10倍の2億8千万円となっていることから、建築業を中心に市内経済に即効性のある効果が得られたと判断いたしております。

 市といたしましては、依然、景気好転の兆しが見えない先行き不透明な状況であることに鑑み、24年度も引き続き本支援事業を実施することといたしました。

 また、喫緊の課題である買物弱者対策につきましては、24年度から雲仙市商工会が主体となって一部地域に限定して取り組まれる、「買い物代行共同配送モデル事業」に対して支援を行い、その成果を期待するところでございます。

5.新しい観光・交流による活力づくり

【国際交流事業について】

 韓国求礼郡との交流につきましては、平成19年5月の姉妹結縁の締結後、これまでに、市や市議会における交流はもとより、中学生、高校生による青少年交流やさまざまな民間の交流等を推進しております。

 平成24年度は、姉妹結縁締結5周年の記念の年になることから、雲仙市での記念式典の開催を計画するとともに、23年度に引き続き、中学生の交流を行い、さらなる両市の活性化と友好関係の構築に努めてまいります。

 また、23年度より配置しております国際交流員につきましては、求礼郡とのより一層の円滑な交流事業の遂行を図るとともに、市民向け外国語講座等の開催や国際理解を深める取組みを引き続き実施してまいりたいと考えております。

 なお、経済成長が著しい中国の都市との友好交流も併せて取り組んでまいりたいと考えております。

【地域資源を活かした観光の振興について】
 平成24年度の観光施策といたしましては、本年5月12日から島原半島で開催される「第5回ジオパーク国際ユネスコ会議」という好機を活かしつつ、ジオパーク等の自然環境を活用した体験プログラムや温泉を利用したヘルスツーリズムの取組みを推進していきますとともに、農水産業との連携強化による『食』の体験など、地域資源をフルに活用した観光商品の開発により交流人口の拡大を図ってまいります。

 そのためにも、観光関係団体と他産業団体との連携強化はもとより、外国人観光客の受入体制の整備や観光ガイドの人材育成など、ハード、ソフトの両面から積極的に取組んでまいりますとともに、市民による「おもてなし」運動の定着を図ることにより、観光振興のバージョンアップを図ってまいります。

 24年度の目標である観光客延人数400万人、観光消費額312億円を達成するには、今まで以上の誘客活動を行う必要があります。外国人観光客の誘致につきましては、まもなく就航する「長崎~上海航路」により弾みがつくと思われる中国をはじめ、韓国、台湾へのセールスプロモーションは欠かすことのできない重要な施策として、県とも連携しながら、受け入れ態勢の整備を促進することとし、具体的には、館内の外国語表示やインターネット環境整備などを行う「外国人施設グレードアップ整備事業」といった新規事業にも取り組んでまいります。

 この他、大学病院や専門家の協力を頂きながら、雲仙や小浜の温泉を活用した新しい湯治のスタイルを構築する「温泉ケアツーリズム促進事業」にも新規に取り組み、国内外からの誘客を図ってまいります。

 なお、昨年、県の「がんばらんば長崎」地域づくり支援事業として、採択を受けた島原半島「GAMADASU(がまだす)」プロジェクトでは、島原半島全体をひとつの地域資源として捉え、観光客誘致等を行うことになっておりますが、その窓口の一本化を実現するために、プロジェクト全体を担う島原半島観光連盟に市職員を1名出向させ、支援体制を強化するとともに、県の緊急雇用創出事業を活用し、旅行商品の造成や観光プロモーションなどの業務も行うこととしております。

6.明日を担う人づくりと誇りあるふるさとづくり

【健やかな子育て対策について】

 次世代を担う子どもたちが健やかに成長し、すべての家庭が安心して子育てができる環境づくりを支援していくために、平成24年度におきましては、雲仙市次世代育成支援行動計画に基づき、雲仙市の子育て支援の基本理念である地域全体で子育て支援を実現するため、「雲仙市子育て女性懇話会」や子育てシンポジウムの開催、子育てグループ、親同士の交流による仲間づくりなど、在宅での子育て支援を推進するとともに、市民参加による子育て環境の整備に努めてまいります。

 また、共働き家庭の増加、就労形態の変化によりニーズが高い病児・病後児への対応といたしましては、早期に取り組みができるよう、今後、関係機関と協議を進めてまいります。

 なお、経済的支援策につきましては、子どもに対する手当等の支給及び福祉医療費支給事業、小学校4年生以下の第3子以降の保育料を無料化する、すこやか子育て支援事業などを引き続き実施いたします。

 次に、予防接種事業につきましては、定期予防接種に加え、細菌性髄膜炎等を予防するヒブワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチン予防接種費用の全額助成を生後2カ月から4歳までの乳幼児を対象に、またインフルエンザ予防接種費用の一部助成を小学校就学前までの乳幼児を対象に引き続き実施いたします。

 母子保健関係につきましては、妊婦一般健康診査及び新生児聴覚検査の助成をはじめ、乳幼児の各種健康診査、健康相談を実施するとともに、乳幼児の発達支援として関係機関と連携しながら研修会やケース検討会を開催するなど、母子保健事業の充実を図ります。

 また、歯科保健事業につきましては、歯科健康診査や歯科相談に加え、乳幼児のむし歯予防のためのフッ化物塗布事業等を推進してまいります。

【雲仙市公立学校施設耐震化事業の推進について】
 小中学校施設の耐震化につきましては、厳しい財政状況の中ではございますが、雲仙市の将来を担う児童生徒の安全、安心な学校生活を確保するため、平成24年度までに耐震化が完了するよう「雲仙市公立学校施設耐震化等事業計画」の見直しを行ない、現在、計画に沿った耐震補強等の事業を進めておりますが、計画どおり実施しますと、耐震化率につきましては、23年度末で89.4%、24年度末には100%となる見込みでございます。

 なお、国の23年度第3次補正予算により、体育館の改築工事を1棟、耐震補強工事を8校(校舎4棟、体育館5棟)実施するための内示を受けておりますので、今議会において補正予算案を計上させていただいております。

【長崎がんばらんば国体について】
 長崎がんばらんば国体の馬術競技につきましては、2月6日開催の長崎がんばらんば国体・長崎がんばらんば大会実行委員会常任委員会において会場地選定案が審議され、雲仙市が会場地として選定されました。

 その結果を受け、中央競技団体である日本馬術連盟の正規視察が2月20日に実施され、会場整備や競技運営等についてのアドバイスを受けたところであり、今後、3月22日開催の日本体育協会国体委員会において審議され、雲仙市が会場地として正式に決定される予定であると伺っております。

 このようなことから、既に会場地として正式に決定しておりますサッカー競技に係る愛野運動公園多目的芝生広場整備のための工事請負費、並びに、馬術競技に係る測量・設計委託料を、平成24年度当初予算案におきまして計上させていただいております。

 また、長崎がんばらんば国体雲仙市実行委員会におきましては、各専門委員会を設置し、その委員会において専門的視野に立った基本的な計画や要項を定め、市民総参加のもと、雲仙市の特性を活かした魅力あふれる大会を目指して、万全の体制を整えてまいりたいと考えております。


【平成24年度当初予算案について】
 以上の取り組みを主な内容として編成しました平成24年度当初予算案は、一般会計263億7,899万円で、前年度に比べ、2.2%の減となっておりますが、財源不足を補てんするため、23年度と同様、財政調整基金4億円、減債基金10億円を取り崩して、収支の均衡を図っております。

 また、特別会計及び企業会計を含めた全会計合計は、379億4,280万円で、前年度に比べ、0.9%の減となっております。

 24年度の地方財政計画では、歳入に占める一般財源総額は前年度を下回らないよう確保されたところでありますが、社会保障関係経費の大幅な自然増が依然として見込まれることに加えて、国の政策が不透明かつ不安定なことや、地方自治体の借入金残高も多額であることなど、地方財政を取り巻く環境は、いまだ予断を許さない状況と言わざるを得ません。

 こうした情勢を踏まえつつ、24年度当初予算案は、引き続き財政健全化に取り組むとともに、一方では限られた予算の中で、基幹産業の振興、子育て支援事業、安全・安心に関する事業など、可能な限り地域の活性化に配慮して積極的に取り組むことを基本として予算編成を行ったところでございます。

 本市の今後の財政見通しにおきましても、歳入の根幹の一つである市税収入も低調に推移する一方で、歳出におきましては、少子高齢化に伴う社会保障費などの行政需要が拡大する見通しでございますが、次世代に負担を先送りせず、本市の未来を切り拓くために、議員各位や市民の皆様と建設的な議論を更に積み重ねながら、課題に取り組んでまいる所存でございますので、今後とも一層のご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

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