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国営諫早湾干拓事業の福岡高裁判決に対する国の上告放棄に抗議する決議(H22.12.18)

最終更新日:

国営諫早湾干拓事業の福岡高裁判決に対する国の上告放棄に抗議する決議

 去る12月15日、菅総理は、突然、地元に何ら説明もなく、一方的に福岡高裁判決について上告しないことを発表した。

 しかしながら、国営諫早湾干拓事業は、幾多の豪雨や高潮等により尊い生命や財産を奪われてきた雲仙市民の悲願のもと、平成20年3月に完成し、それ以後は優れた防災機能を発揮し、地元住民はようやく安全・安心な生活ができるようになっている。また、新干拓地では意欲ある農業者による大規模営農が展開され、調整池とその周辺では淡水化による新たな生態系も形成されている状況にある。

 潮受堤防排水門が開門されれば、以前のような深刻な水害等が発生することは明白である。したがって、防災や農業、漁業、環境への影響を科学的かつ客観的に分析するための環境影響評価を実施し、その検証結果を最大限に尊重したうえで誰もが納得できる判断をするように求め、地元の同意なくして開門調査は絶対に行なわないようこれまで要望してきたところである。

 今回の福岡高裁判決は、地元の実態を全く踏まえず、国営諫早湾干拓事業の防災機能と営農等を低く評価し、開門による地元住民や農業、漁業、環境等への影響を全く理解していない内容であり、われわれ雲仙市議会としても、国に上告を求める意見書を可決し、国や政府、与野党に要請したばかりである。

 そもそも諫早湾干拓事業は、地元の協力のもとに国営事業で実施されたのであり、開門調査にあたっては、地元の声を全く無視することはできないはずである。それにも拘わらず、科学的根拠に基づくこともなく、地元住民の意見を何ら聞くこともなく、菅総理が一方的に上告を放棄して開門する方針を表明されたことは、甚だ遺憾である。

 よって、国営諫早湾干拓事業の防災効果や新干拓地における大規模営農、開門による諫早湾内外への様々な影響等を考慮すれば、菅総理は、まずは実態を正確に把握したうえで、自らの発言を撤回し、上告を行なうよう強く抗議する。

 以上決議する。

   平成22年12月18日

長崎県雲仙市議会

 衆議院議長 横路 孝弘 様
 参議院議長 西岡 武夫 様
 内閣総理大臣 菅 直人 様
 農林水産大臣 鹿野 道彦 様
 環境大臣 松本 龍 様
 内閣官房長官 仙谷 由人 様


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