宮中献穀事業は、明治25年から始まり、以降毎年、全国各都道府県の農家代表が新穀を宮中に献上することが伝統として行われており、長崎県からも毎年県内の農家から選ばれた献穀者から新穀が献上されています。
この事業は、地域農業振興策の一貫として、米生産地としてのPRや稲作文化の継承などにも寄与するとともに、小学生等による稲作体験や地元住民の交流が促進され、地域の活性化にも繋がるものです。
令和4年度は、献穀者に笹田光一さん(吾妻町川床名牧の内地区)が選出されました。
雲仙市で宮中献穀事業が行われるのは平成19年に千々石町で実施されて以来15年ぶりとなります。
今年4月に設立された宮中献穀雲仙市奉賛会により事業が実施されており、5月1日に「斎田清祓」と「播種祭」、5月29日に「お田植え祭」、7月31日に「青田祭」、9月24日に「抜穂祭」が実施されました。
5月1日に「斎田清祓」と「播種祭」が行われました。
5月1日に雲仙市吾妻町牧の内地区の斎田で最初の神事である「斎田清祓」と「播種祭」が執り行われました。
「播種の儀」 奉賛会会長と献穀者の笹田光一さんが斎種を苗代に播きました
「鍬入れの儀」 献穀者の笹田光一さんが鍬入れを行いました
5月29日に「お田植え祭」が行われました。
5月29日に雲仙市吾妻町牧の内地区の斎田で「お田植え祭」が執り行われました。
「田均しの儀」 献穀者の笹田光一さんが田均しを行いました
「お田植えの儀」
奉耕者、耕作長、早乙女長に斎苗が渡されました。
多くの地元の方が、紺がすりの着物に赤だすき、すげがさをかぶった早乙女と白装束の田男にふんし、斎綱に沿って丁寧に早苗を植えていきました。
7月31日に「青田祭」が行われました。
7月31日に吾妻町牧の内にある農業生産組合「棚田ほたる」事務所において、「青田祭」が執り行われました。
この青田祭は、奉耕田並びに地域全体の稲作における水不足や風水害を防ぐ、そして害虫除けを祈願する神事であります。
当日は、午前10時より棚田ほたる事務所において神事が執り行われ、その後献穀田に移動して、田草取りおよび虫追いの所作を行いました。
「虫追いの儀」
「田草取りの儀」
9月24日に「抜穂祭」が行われました。
9月24日(土曜日)に吾妻町牧の内にある農業生産組合「棚田ほたる」事務所において、「抜穂祭」が執り行われました。
抜穂祭は、これまで大切に育てられた稲を刈取り、収穫に感謝する儀式です。
当日は天気も良く、神事も滞りなく行われ、献穀田までの行進や献穀田での稲刈りについても多くの方が参加され、祭りの最後にはもちまきが盛大に行われました。
神事では、奉耕者、奉賛会会長、耕作長、刈女、田男の5名に斎(いみ)鎌(かま)が手渡されました。
献穀田までの行進には、多くの方が参加されました。
献穀田では、はじめに奉耕者の笹田光一さんによる稲刈りが行われました。
その後、刈女、田男により一斉に稲刈りを行いました。
もちまきでは歓声が飛び交い、盛り上がりました。
献穀米の選別作業
10月12日、吾妻町牧の内公民館において事業推進委員会のメンバーが集まり、献穀米の選別作業実施しました。
無事に収穫を終え、籾摺り、精米作業を経た白米を一粒一粒丁寧に確認し、宮中へ送付する献穀米として選別することができました。
献穀米清祓式
10月19日、吾妻町熊野神社において、献穀米の清祓式を執り行いました。
奉賛会会長である雲仙市長のほか、奉耕者の笹田光一さん、耕作長の前田末広さん、牧の内自治会長の芦塚俊彦さんらが出席されました。
清祓いを終えた献穀米については、10月21日に宮内庁へ送付されました。
献穀記念米贈呈式
11月7日に献穀米と同じ水田で収穫されたお米である「献穀記念米」を、長崎県知事および神社庁へ贈呈しました。
これまでの事業推進や祭事などにおいて、いろいろなアドバイスや支援を頂いたお礼を申し上げるとともに、無事に収穫を終え宮内庁へ献穀米を送付できたことを報告いたしました。
宮中献穀事業 位置図