(株)天洋丸 岸本 希望(のぞみ)さん =雲仙市南串山町=
人とのつながりが楽しい/女性漁師もっと増やしたい
◆きっかけは一年漁師
魚は見るのも食べるのも好き。幼いころは水族館に行くのが楽しみだった。生まれ育ったのは海がない埼玉県。南串山町での移住生活は1年を迎え、「楽しくてしょうがない」と笑う。
高校、調理師専門学校を卒業後、地元の飲食店で働いていた。昨年4月、新型コロナの影響で店が休業。一念発起し、昔からやりたかった魚関連の仕事を探した。巻き網漁業の天洋丸(本社・南串山町)のホームページで、期間限定で漁業就業ができる「一年漁師」を見つけ、「女性でもできるんだ」と応募。リュックとキャリーケース一つで門をたたいた。
不安がなかったわけではない。でも、それ以上にドキドキワクワクのほうが勝っていた。南串山町の印象を「気さくで温かい人ばかり」と話す。知らない人でも「おはよう」とあいさつすれば「おはよう」と返って来る。「当たり前のことが新鮮だった。人とのつながりが楽しい」。
◆飛び込んでよかった
巻き網漁業は夜間から明け方まで海に出る。主に煮干しの原料となるカタクチイワシを狙う。初めのうちは船上で威勢のいい方言が飛び交う光景に戸惑った。「ケンカしているのかと思った」と苦笑。今では地元住民と変わらないくらい、方言も達者になった。
南串山町に来て不便に思うのは、店が少ないこと。そして「暗くなるのが早い」。夜は真っ暗。もっといろいろな店ができればいいなと思う。でも、取れたての魚を味わえる喜びは、ここじゃないと出会えなかった。
今年4月、ここでずっと働くことを決意。男社会と思っていた海の世界。飛び込んでよかったと心底思う。漁の傍ら、漁業体験の世話役も務める。「自分が楽しんでいる姿を見て、漁師を目指す人が増えたらいいな」と目を輝かせる。みんなの希望になれるように。
私のオススメ
休みの日でも海に出てしまう岸本さん。最近は友達の畑でナスとオクラを栽培して農業も勉強中。畑に行くまでの途中にある棚畑展望台は、一番のオススメスポット。眼下に広がる棚畑と、その奥には〝職場〟である青い海が広がる。「1時間ほど夕日を眺めている時もある。都会では味わえない最高の贅沢です」。
雲仙ふるさと景観百選入賞作品:棚畑夕景
※この企画は、長崎新聞社発行の情報紙「とっとってmotto!」84号(令和5年6月23日号)に掲載されました。また、ひまわりてれびの情報番組「デイリーひまわりTims」でも動画バージョンが放送されました。
動画はYouTubeの雲仙市公式チャンネルでも公開しています。
YouTube雲仙市公式チャンネル(https://www.youtube.com/channel/UC1upHr_WMt3sCFOfkRP6oIQ(外部リンク))