水稲
(1) 穂ばらみ期~穂揃い期は、湛水状態を保つことに努め、可能な限り掛け流しかん水を実施し、稲体の消耗を少なくする。
(2) 高温により、コブノメイガ、ウンカ類、紋枯病および穂吸汁性カメムシ類の多発生が懸念される。このため、発生状況を見極め、適期防除に心がける。
大豆
(1) 高温条件下では出葉速度が速まる等生育が促進されるので、土入れ等の管理時期を失しないように努める。
(2) 高温・乾燥条件下では、ハスモンヨトウ等の食葉性害虫の発生や活動が活発になるので、フェロモントラップやほ場観察により発生状況を確認し、適期防除に努める。
(3) 暗渠が施工されているほ場では、水甲を閉じて地下水位の低下を防ぐ。
(4) 開花期には多くの水分を必要とするので、乾燥したほ場では額縁明渠とほ場内の排水溝を通してかん水する。
野菜
【共通】
(1) 生育中のもの(育苗を含む)は、寒冷紗等の高張りを行い、降温処理に努める。
(2) 補植用の苗を準備しておく。
(3) 薬剤散布は、高温乾燥条件下では薬剤散布による薬害が発生しやすくなるので、朝夕の涼しい時間帯に行う。高温乾燥条件が続くとハダニ類、アザミウマ類、コナジラミ類が発生しやすいので、初期防除に努める。土壌消毒等の実施にあたっては、高温・乾燥条件に伴う急激な気化による作業者および周辺への影響が懸念されるため、防護マスクや被覆処理等の安全対策を確実に講じる。
(4) 水分保持や地温上昇の抑制のため、地温抑制マルチや敷きワラ等を活用する。
いちご
(1) ポット育苗中の苗は、寒冷紗等の高張りにより葉焼けを防止するとともに、午前中の温度の低い時間帯に丁寧に十分量かん水する。極度に乾燥する場合は、夕方に少量のかん水を検討する。
曇天から晴天への急激な天候の変化があると水不足によりしおれることがあるので、天候が急変しそうな時はかん水管理には注意する。
アスパラガス
(1) 乾燥防止のため、株元を中心に堆肥を施用する。また、午前中から土壌水分の 減少が多くなるため、午前中から十分なかん水を行うようにする。
(2) 適度な整枝を行い、ハウスの妻面、サイド、谷部を極力開放し、風通しを良くして降温対策に努める。
(3) 寒冷紗被覆等により降温対策を行う。
(4) スリップス、ヨトウムシ類等の害虫防除に努める。
果樹
【共通事項】
(1) 敷わら、敷草を行い、土壌水分の蒸発防止に努める。刈り取った草は樹冠下に敷く。土壌の乾燥状態や生育に応じてかん水を行う。特に幼木はこまめなかん水を行う。
(2) 薬剤散布は、早朝の涼しい時間帯に行う。
みかん
(1) シートマルチ栽培を行っている園では、かん水チューブ等によるドリップかん水等により、地表面に直接かん水できるよう配慮す
る。
(2) 水分ストレス付与による増糖効果を高める時期なので、早朝に葉の巻き具合や葉色の変化など樹勢の状況を見てかん水するかどうかを判断する。かん水量は10a当たり2t程度とし、その後の樹体の回復状況を見てかん水を追加する。
なお、10日間の果実肥大横径が3mmを下回った場合は、かん水を実施する。
(3) 袋かけを行なうかんきつは、早めに実施する。
びわ
(1) 極端な土壌の乾燥は、着房過多となり、樹勢の低下を助長するため、充分なかん水を行った後に敷きわら、敷き草を行う。
なし
(1) 高温等により熟期が早まる可能性があるので適期に収穫を行う。また収穫は気温 が低い早朝に行う。
(2) 中晩生品種は高温と土壌の過乾燥が続くとヤケ果や水ナシ果になりやすいので、充分なかん水を行った後に敷草、敷わらを行う。
ブドウ
(1) 土壌の極端な乾燥後の多量の降雨は、裂果の発生を助長するため、過度な乾燥状態とならないように、こまめなかん水により土壌水分を保つ。
(2) 高温等により果実の減酸は早く、着色が遅れる傾向にあるので品質を確認し適期に収穫を行う。
茶
(1) 茶園の外周およびうね間の土壌管理として、敷わらや敷草等を行い地表面からの水分蒸発を防ぐ。
(2) 茶樹の株元から株内への頻繁なかん水に努める。かん水は朝夕の涼しい時間帯に行う。
(3) 深耕・裾刈り作業を中止する。
(4) かん水後には、野草・カヤ等で株元付近をマルチする。
(5) 既に落葉等の被害を生じ始めた茶園では、かん水時に肥料を溶いて、液肥として株元に施用する。ただし、多肥になると根の活性を弱めるので注意する。
(6) カンザワハダニ、チャノミドリヒメヨコバイ等の害虫発生に注意し、適期防除に努める。薬剤散布は、早朝の涼しい時間帯に行う。
花き
(1) ハウス内が著しく高温になる場合は、可能な限り妻面、サイドおよび谷部を開放し、風通しを良くする。また、遮光・遮熱資材や循環扇、パット&ファン等の利用により降温対策を行う。
(2) ヨトウムシ類、ハダニ類、立枯れ病等の発生に注意し、適期防除に努める。また、薬剤散布は、朝夕の涼しい時間帯に行う。
(3) かん水作業は朝方の涼しい時間帯に実施する。特に、定植直後や生育初期のものは土壌乾燥による生育不良が懸念されるので、土壌の乾燥具合に注視しながらかん水を行う。
(4) 小菊等の露地栽培でマルチ栽培を実施していないほ場は、敷わら・敷草を行い、土壌水分の蒸発防止に努める。
(5) 定植後の苗が枯れた場合は、補植苗を移植する。
畜産
【共通対策】
(1) 飼育密度の緩和、換気扇や扇風機による畜体等への送風や散水・散霧を行い、家畜の体感温度の低下に努める。
(2) 寒冷紗やよしずによる日除け、屋根裏・壁・床への断熱材の設置、屋根への消石灰の塗布等により、畜舎環境の改善に努める。
(3) 良質で消化率の高い飼料の給与、ビタミンやミネラルの追給および清浄で冷たい水の給与に努める。気温が低い早朝の飼料給与。
(4) 観察の頻度を増加させることにより、健康悪化の兆候がないか等、家畜の健康状態をよく把握し快適性に配慮した飼養管理に努める。
牛
(1) 毛刈り、粗飼料の細断給与、多回給与、夜間放牧
(2) エネルギー消費量が増加することから、養分要求量が増加する。濃厚飼料の給与量を増やすことも一つの手段であるが、ルーメンアシドーシスを引き起こす危険があるため、重曹やバイパス油脂(脂肪酸カルシウム)を給与するのも効果的。
(3) 牛は25℃から暑熱ストレスを感じると言われているので,肩から首に汗腺が多く、2m以上の風を牛の首を目がけて当てると効果的である。
豚
(1) 繁殖豚においては、水滴を首筋に垂らすドロップクーリングが効果的であるが、これをペットボトルに水を入れて凍らせたペットボトルクーラーを利用し、低コストで実施する方法もある。
鶏
(1) パンティングにより、体内の炭酸ガスが過剰に排出されて血液がアルカリ性となることを予防するため、飼料・飲水への重炭酸ナトリウムおよび飼料への生菌剤の添加が効果的である。