毎年5月31日は、世界保健機関(WHO)が制定した「世界禁煙デー」となっています。
日本では、世界禁煙デーからの1週間(5月31日~6月6日)を「禁煙週間」と定め、禁煙を呼び掛けています。
たばこの影響
たばこには、5,300種類以上の化学物質と70種類以上の発がん物質が含まれています。
脳卒中や心臓病、慢性的な肺疾患、糖尿病、慢性腎臓病など、さまざまな生活習慣病を引き起こすほか、肺がんに限らず多くのがんの原因になります。これらの病気のリスクは喫煙を開始する年齢が早いほど高くなります。
2019年時点で喫煙が原因で死亡したと推定される人数は年間約19万人にものぼっています。高血圧と並んで、日本人が命を落とす2大リスク要因の1つが喫煙となっています。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDは、「肺の生活習慣病」とも言われており、肺気腫や慢性気管支炎も合わせた、慢性閉塞性肺疾患という病気のことをいいます。
気管支が炎症を起こしたり肺胞が破壊されて肺機能が低下し、悪化すると「せき」・「たん」・「息切れ」が強くなり生活に支障をきたします。日本では、約530万人を超える患者がいると言われており、年々死亡者が増えています。
最大の原因は喫煙ですが、受動喫煙も原因となります。
望まない受動喫煙を防ごう
本人は喫煙していなくても身の回りのたばこの煙にさらされることを「受動喫煙」と言います。
喫煙者が吸っている煙だけでなく、たばこから立ちのぼる煙や喫煙者が吐き出す煙にも、ニコチンやタールなどの多くの有害物質が含まれています。
全ての人が受動喫煙を被らないために、公共施設はもちろん、家の中や自動車内でも望まない受動喫煙が起こらないように配慮が必要です。特に、子どもや患者が多く集まる場所や近くにいる場所では、喫煙を控えましょう。
◆受動喫煙と病気 受動喫煙との関係が確実な病気 | 受動喫煙と関係する可能性がある病気 |
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・肺がん ・虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症) ・脳卒中 ・乳幼児突然死症候群
| <成人> ・鼻腔・副鼻腔がん ・乳がん ・COPD(慢性閉塞性肺疾患) ・喘息の発症・重症化
<胎児・小児> ・低出生体重、胎児発育不全 ・喘息の発症・重症化 ・中耳疾患 ・う歯(虫歯) ・呼吸機能低下
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※「受動喫煙との関係が確実な病気」について、受動喫煙が原因で死亡した人数は年間約1万5,000人と推計されています。
(SMART LIFE PROJECT 『「喫煙と健康」禁煙して心身の健康を取り戻そう』より作成)
禁煙による健康へのメリット
禁煙には、健康上のメリットが多くあります。短いものでは、禁煙をしてから20分以内に健康上の好ましい変化が現れます。
◆禁煙と健康 禁煙してからの経過時間 | 健康上の好ましい変化 |
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20分後 | 血圧と脈拍が正常値まで低下する。 |
8時間後 | 血中の一酸化炭素濃度が低下する。 |
24時間後 | 心臓発作の可能性が少なくなる。 |
数日後 | 味覚や嗅覚が改善する。歩行が楽になる。
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2週間~3か月後 | 心臓や血管など、循環機能が改善する。 |
1~9か月後 | 咳や喘息が改善する。スタミナが戻る。 |
1年後
| 肺機能の改善がみられる。 (※軽度・中等度の慢性閉塞性肺疾患のある人) |
2~4年後 | 虚血性心疾患のリスクが、喫煙を続けた場合に比べて35%減少する。 脳梗塞のリスクも顕著に低下する。
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5~9年後 | 肺がんのリスクが喫煙を続けた場合に比べて明らかに低下する。 |
10~15年後 | 様々な病気にかかるリスクが非喫煙者のレベルまで近づく。 |
(厚生労働省 e-ヘルスネット 「禁煙の効果」から引用)
禁煙をしたい人へ
長年たばこを吸っていても、禁煙するのに遅すぎることはありません。また、禁煙は病気の有無に関わらず、健康改善効果が期待できるので、病気を持った人が禁煙することも大切です。
たばこに含まれるニコチンには依存性があり、禁煙を行うことは簡単なことではないため、治療による禁煙も行われています。
6か月以上続く禁煙の成功率は、自力で禁煙した場合に比べ「4~6倍」も高く、わが国の禁煙外来の成績では治療終了時点で「7~8割」の人が禁煙に成功しています。
禁煙治療では、医師等のサポートを受けながら、無理なく禁煙をすることが可能です。禁煙外来を上手に活用して、禁煙しましょう!
【長崎県内で禁煙支援を受けることのできる病院・医院はこちら】
長崎県ホームページ 「上手に禁煙しよう」(外部リンク)