アスパラガス農家 山口 条紀さん =雲仙市千々石町=
サポート受けて農家へ/人が集まる場つくりたい
◆収穫の不安乗り越え
「地元に帰って何かしたい」。高校卒業後、愛知県で勤めた物流関係の仕事に区切りをつけて、千々石町に戻ったのは24歳の時。友達がいて、近くに農家も多く、サポートを受けられる環境が整っていた。
アスパラガス農家を営んでいた祖父の仕事を引き継ぎたいと思い、勉強を始めた。県新規就農相談センターの研修も受けた。そこで紹介された先輩の農業者は、損得を考えず相談に乗ってくれ、今では師と仰ぐほど尊敬している。「本当に収穫できるのか」と不安な時期を乗り越えられたのは「友達と周りの農家さんのおかげ」と、感謝の気持ちを口にする。
◆地元に恩返し
農業で心がけているのは「新しいことを取り入れること」。一時は、理想の土づくりのため、山から土を運んだが「キノコが生えて失敗だった」と笑う。一方、諫早農業高と連携し「竹パウダー」を畑にまく試みには除草効果があった。「失敗を怖がって、後悔したくない」と挑戦を続ける。
昨年はビニールハウスを5棟から8棟に増築。アスパラガスの株数も1千から2千に増やせた。「収入を増やし、リスク分散のために」とブロッコリーも近隣で栽培。「成功も失敗も自分次第。それが自分に合っている」と自覚する。
今後の目標は「規模を大きくして、障害のある人たちも働ける場所をつくること。子どもたちの喜ぶ姿も見たい」。アスパラガス栽培は「誰にでもできる作業も多い」として、たくさんの人が集まる可能性を感じている。支えてくれた地元のために「次は自分に何かできることがないか」。その思いを胸に汗を流す。
心地よい陽光が降り注ぐ5月下旬。ビニールハウス前で将来を思い描く優しいまなざしのそばに、愛犬「ベベ」がそっと寄り添っていた。
私のオススメ
千々石町の伝統行事「観櫻火宴」。郷土を守るために戦った千々石大和守直員の思いをまちづくりに引き継ごうと、地元住民らが毎年3月に開いている。28回目の今年、大将直員役を担った。訪日客に魅力を発信するためのメディアも多く、例年以上のにぎわいに感じた。「橘神社の夜桜がたいまつに照らされてきれいなところが魅力的」
※この企画は、長崎新聞社発行の情報紙「とっとってmotto!」(令和6年6月28日号)に掲載されました。また、ひまわりてれびの情報番組「デイリーひまわりTims」でも動画バージョンが放送されました。
動画はYouTubeの雲仙市公式チャンネルでも公開しています。
YouTube雲仙市公式チャンネル(https://www.youtube.com/channel/UC1upHr_WMt3sCFOfkRP6oIQ
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