畜産農家 荒木 大和さん =雲仙市千々石町=
牛の観察や世話が好き/命相手の繊細な仕事
◆元気で健康な牛を
幼いころから餌やりなど牛の世話をするのが好きだった。実家は雲仙市内で繁殖牛を飼育する畜産農家。小学生の時には父の仕事を継ぎたいと思うようになり、県立農業大学校へ進学。畜産を学び、卒業後は父が経営する牛舎で仕事に励んでいる。
雲仙市内4カ所に牛舎がある。このうち吾妻町の有明海を望む高台の牛舎では繁殖母牛220頭を飼育。毎月、生後8〜9カ月の子牛を出荷しており、牛の観察には神経を研ぎ澄ます。「繁殖成績を上げないと経営につながらない。体調の変化や母牛の発情、受精適期、分娩を見逃さないことが大事」と語る。
子牛の体調に変化が見られれば獣医に相談したり、早めに治療をしたりする。母牛にはICT技術を導入したセンサーをつけて、スマートフォンのアプリで活動を把握。発情や受精適期などをセンサーが察知しアプリに通知がくるため、見逃しを防げる。「大きく元気な牛が高値になる。良質な牛を育ててもうかるかは工夫次第。その方法を考えるのが楽しい」。毎日の餌やりなどで休みが取りにくく、命を相手にしているため気が抜けない大変な仕事だ。それでも牛が好きだし、父からの期待に応えたいとの思いも強い。
◆周りの人の優しさに触れる
雲仙市の良さは山も海もあり、景色が美しいところだ。一方、映画館やショッピングモールなどがあれば、移住者がもっと来てくれるかもしれないとも考える。若い人が少ないと思ったりするが、自分の周りには同業の友人や農協関係者、消防団の先輩など相談事にも快く対応してくれる優しい人たちに恵まれ、雲仙市で暮らして良かったと思っている。
妻は同じ県立農業大学校で畜産を学んだ同志。一緒に牛の世話をしてくれる。幼い娘のことや牛舎も任せられる大事な存在だ。「牛の品質を上げつつ、出荷頭数を増やし、収入を高く維持したい」。決意は強い。
私のオススメ
正月が近づくと高さ11m以上の巨大な門松が登場する橘神社。四百数十年前の史実を基にした勇壮な火祭り「観桜火宴」が3月に開催され、祭りの手伝いをしました。牧場の里あづまには、数年前まで牛を放牧していたため、よく様子を見に行っていました。海と山を望める自然豊かな環境で牛たちがのびのび過ごせます。また放牧したいですね。
※この企画は、長崎新聞社発行の情報紙「とっとってmotto!」(令和6年10月25日号)に掲載されました。また、ひまわりてれびの情報番組「デイリーひまわりTims」でも動画バージョンが放送されました。
動画はYouTubeの雲仙市公式チャンネルでも公開しています。
YouTube雲仙市公式チャンネル(https://www.youtube.com/channel/UC1upHr_WMt3sCFOfkRP6oIQ
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